家族歴調査のシステム化による家族性腫瘍相談室の運営

当院では,入院患者を対象とした家族歴調査をシステム化し,そのデータに基づき家族性腫瘍相談室を運営している.家族性腫瘍の診断基準にあてはまる症例,強く疑う症例は,相談室内のデータベースに入力すると共に,外来・入院主治医を通じて家族性腫瘍相談外来を紹介する.その後,患者の希望に応じて家族性腫瘍相談外来にて相談医がカウンセリングを行っている.必要に応じ遺伝子診断を行う体制を整え,診断後の発端者の精神的支援,近親者への医療的配慮にも努力している.2000 年11 月から2004 年1 月までに行った家系調査は2,448 件であり,家族性腫瘍と考えられたのは59 人であった.カウンセリングは25 人,遺...

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Published in家族性腫瘍 Vol. 5; no. 1; pp. 57 - 60
Main Authors 大住, 省三, 谷水, 正人, 佐々木, 晴子, 高嶋, 成光, 青儀, 健二郎, 久保, 義郎, 福岡, しのぶ, 新海, 哲, 山田, 純子, 那須, 淳一郎, 平家, 勇司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本家族性腫瘍学会 2005
一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
The Japanese Society for Hereditary Tumors
Subjects
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ISSN1346-1052
2189-6674
DOI10.18976/jsft.5.1_57

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Summary:当院では,入院患者を対象とした家族歴調査をシステム化し,そのデータに基づき家族性腫瘍相談室を運営している.家族性腫瘍の診断基準にあてはまる症例,強く疑う症例は,相談室内のデータベースに入力すると共に,外来・入院主治医を通じて家族性腫瘍相談外来を紹介する.その後,患者の希望に応じて家族性腫瘍相談外来にて相談医がカウンセリングを行っている.必要に応じ遺伝子診断を行う体制を整え,診断後の発端者の精神的支援,近親者への医療的配慮にも努力している.2000 年11 月から2004 年1 月までに行った家系調査は2,448 件であり,家族性腫瘍と考えられたのは59 人であった.カウンセリングは25 人,遺伝子診断は10 人に行われ,そのうち5人に病的変異を確認した.また,パンフレットやインターネットを利用した情報発信・啓蒙活動にも尽力している.こうした取り組みは将来,家族性腫瘍の診療・研究の中心になってゆくと思われる.
ISSN:1346-1052
2189-6674
DOI:10.18976/jsft.5.1_57