アルコール摂取状況と歯の喪失との関連についての研究:魚沼コホート研究ベースライン調査

本研究の目的はアルコール摂取状況と歯の喪失との関連を明らかにすることである.40歳以上の25,216名を分析対象とした.分析では,性別およびアルコール摂取状況[非飲酒者,過去飲酒者,現在飲酒者(週1~149 g,週150~299 g,週300~449 g,週450 g以上)]により対象者特性を比較した.その後,アルコール摂取状況と歯の喪失との関連について,ロジスティック回帰分析を行った.従属変数を歯の喪失程度(「現在歯数20本未満」および「無歯顎」)とし,独立変数をアルコール摂取状況とした. その結果,男性で,現在歯数20本未満と非飲酒者,過去飲酒者,週450 g以上との間に有意な関連がみられ...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 73; no. 3; pp. 177 - 184
Main Authors 伊藤, 由美, 葭原, 明弘, 諏訪間, 加奈, 岩﨑, 正則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 2023
日本口腔衛生学会
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.73.3_177

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Summary:本研究の目的はアルコール摂取状況と歯の喪失との関連を明らかにすることである.40歳以上の25,216名を分析対象とした.分析では,性別およびアルコール摂取状況[非飲酒者,過去飲酒者,現在飲酒者(週1~149 g,週150~299 g,週300~449 g,週450 g以上)]により対象者特性を比較した.その後,アルコール摂取状況と歯の喪失との関連について,ロジスティック回帰分析を行った.従属変数を歯の喪失程度(「現在歯数20本未満」および「無歯顎」)とし,独立変数をアルコール摂取状況とした. その結果,男性で,現在歯数20本未満と非飲酒者,過去飲酒者,週450 g以上との間に有意な関連がみられた[週1~149 gと比較したオッズ比(95%信頼区間)=1.49(1.29–1.72),1.25(1.05–1.49),1.22(1.07–1.39)].無歯顎は非飲酒者との間に有意な関連がみられた[1.70(1.33–2.18)].一方,女性で,現在歯数20本未満と非飲酒者,週150 ~299 g,週450 g以上との間に有意な関連がみられた[1.20(1.08–1.34),1.28(1.04–1.57),1.64(1.12–2.40)].無歯顎は週450 g以上との間に有意な関連がみられた[3.18(1.31–7.76)]. アルコール摂取状況は歯の喪失と関連し,現在飲酒者においてアルコール摂取量が多いほど関連が強く,その関連の程度には性差がみられた.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.73.3_177