1歳6か月児および3歳児健康診査における聴覚スクリーニングの現状と問題点の検討

乳幼児健康診査 (健診) における保護者による聴こえの自己検査の実施状況を調査すると, 正しく自己検査が行われていた者は3歳児健診 (受診者289児) で15%, 1歳6か月児健診 (受診者309児) で22%であった。言語聴覚士が健診受診児に乳幼児聴力検査を実施し, 要精密検査となった児の耳鼻咽喉科での診断結果を追跡調査すると, 乳幼児聴力検査で要精密検査となった15児中10児が耳鼻咽喉科医を受診し, 9児に異常がみられた。しかし, 異常がみられた9児のうち聴こえの自己検査においても合格基準を満たしていなかった者は2児のみであり, 従来の健診における聴力障害のスクリーニングでは偽陰性が多かっ...

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Published inAUDIOLOGY JAPAN Vol. 52; no. 4; pp. 188 - 194
Main Authors 長嶋, 比奈美, 佐藤, 公美, 瀧元, 美和, 武田, 憲昭, 森実, 加奈, 三根生, 茜, 宇高, 二良, 坂崎, 弘幸, 合田, 侑以
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本聴覚医学会 2009
日本聴覚医学会
Subjects
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ISSN0303-8106
1883-7301
DOI10.4295/audiology.52.188

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Summary:乳幼児健康診査 (健診) における保護者による聴こえの自己検査の実施状況を調査すると, 正しく自己検査が行われていた者は3歳児健診 (受診者289児) で15%, 1歳6か月児健診 (受診者309児) で22%であった。言語聴覚士が健診受診児に乳幼児聴力検査を実施し, 要精密検査となった児の耳鼻咽喉科での診断結果を追跡調査すると, 乳幼児聴力検査で要精密検査となった15児中10児が耳鼻咽喉科医を受診し, 9児に異常がみられた。しかし, 異常がみられた9児のうち聴こえの自己検査においても合格基準を満たしていなかった者は2児のみであり, 従来の健診における聴力障害のスクリーニングでは偽陰性が多かったと考えられる。今後, 聴こえの自己検査の精度を向上するためには保護者が検査方法を正しく理解できる説明方法の検討が必要であるが, 聞こえの自己検査には限界もあるため聴力障害のスクリーニングに言語聴覚士や耳鼻咽喉科医の参画が望まれる。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.52.188