固形食化超低エネルギー食における栄養組成の差異が肥満の治療効果に及ぼす影響

中等度~高度肥満症に対し, 固形食化VLCDの栄養組成を, 従来の380kcal, たんぱく質40gから460kcal, たんぱく質55gに調整し, その差異が肥満の治療効果に及ぼす影響を検討した。 対象は, 当院の入院管理下において380kcalの固形食化VLCD (超低エネルギー食) を摂取した男12人, 女32人, 計44人 (平均年齢46.1±2.5歳), 及び460kcalの固形食化VLCDを摂取した男12人, 女27人, 計39人 (平均年齢45.1±2.3歳) とした。 380kcal または460kcalの固形食化VLCDを当院の肥満治療プログラムに従って実施した結果, 標準偏...

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Published in栄養学雑誌 Vol. 56; no. 4; pp. 199 - 209
Main Authors 秋山, 栄一, 衛藤, 宏, 桑原, 寛, 三重野, 優子, 伊東, 祐信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会 01.08.1998
日本栄養改善学会
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ISSN0021-5147
1883-7921
DOI10.5264/eiyogakuzashi.56.199

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Summary:中等度~高度肥満症に対し, 固形食化VLCDの栄養組成を, 従来の380kcal, たんぱく質40gから460kcal, たんぱく質55gに調整し, その差異が肥満の治療効果に及ぼす影響を検討した。 対象は, 当院の入院管理下において380kcalの固形食化VLCD (超低エネルギー食) を摂取した男12人, 女32人, 計44人 (平均年齢46.1±2.5歳), 及び460kcalの固形食化VLCDを摂取した男12人, 女27人, 計39人 (平均年齢45.1±2.3歳) とした。 380kcal または460kcalの固形食化VLCDを当院の肥満治療プログラムに従って実施した結果, 標準偏差が大きかったため, 体重は両群とも4週間後に, BMIは2週間後及び3週間後から, それぞれ有意に減少した。入院時と入院4週間後で比較した総コレステロール, LDL-コレステロール, 中性脂肪は, 両群とも有意に低下した。HDL-コレステロールは380kcal群で有意に低下したが, 460kcal群ではやや減少傾向を示すものの, 有意の差は認められなかった。動脈硬化指数 ((総コレステロール-HDL-コレステロール)/HDL-コレステロール) は460kcal群において明らかな改善がみられた。窒素バランスは380kcal群に比し, 460kcal群において有意に改善した。血清鉄は両群とも4週間後に有意に低下したが, 1,200kcal食に維持すると正常範囲に回復した。両群間で4週間後の体重減少速度に著明な差を認めなかったにもかかわらず, 血清脂質, 動脈硬化指数, 窒素バランスにおいては, 460kcal 群に良好な結果が得られた。 以上の結果から, 1日460kcalの固形食化VLCDは, 380kcalに比し適正な栄養量と思われる。
ISSN:0021-5147
1883-7921
DOI:10.5264/eiyogakuzashi.56.199