フッ化水素酸ミスト吸入曝露による急性致死影響と血中およびBALF中フッ素動態の検討
「目的」フッ化水素酸(hydrofluoric acid:HFA)の職業的曝露事故の労災報告は後を絶たない. 現場での主な曝露形状および経路として液体の経皮曝露およびミストの経気道曝露がある. 前者は深達性化学熱傷を生じ, 血中に吸収された大量のフッ素イオン(F)が電解質異常を発現し, 生命予後に大きく影響すると考えられている[1]. 一方, 後者による毒性影響は前者に比し, 殆ど研究されていないが, 我々は吸入曝露後の致死事例を報告した[2]. 高濃度曝露ではなかったが, 臨床経過は急激かつ重篤であったため, 経肺的なFの血中移行に加え, HFAの肺組織への直達影響も大きく作用したと推察され...
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Published in | BIOMEDICAL RESEARCH ON TRACE ELEMENTS Vol. 20; no. 4; pp. 307 - 309 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本微量元素学会
2009
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Subjects | |
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ISSN | 0916-717X 1880-1404 |
DOI | 10.11299/brte.20.307 |
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Summary: | 「目的」フッ化水素酸(hydrofluoric acid:HFA)の職業的曝露事故の労災報告は後を絶たない. 現場での主な曝露形状および経路として液体の経皮曝露およびミストの経気道曝露がある. 前者は深達性化学熱傷を生じ, 血中に吸収された大量のフッ素イオン(F)が電解質異常を発現し, 生命予後に大きく影響すると考えられている[1]. 一方, 後者による毒性影響は前者に比し, 殆ど研究されていないが, 我々は吸入曝露後の致死事例を報告した[2]. 高濃度曝露ではなかったが, 臨床経過は急激かつ重篤であったため, 経肺的なFの血中移行に加え, HFAの肺組織への直達影響も大きく作用したと推察された. そこでHFA吸入曝露における致死量を推定し, 急性毒性影響の発現機序を検討した. また先行研究によりHFA曝露後の血中移行による血液電解質および腎への有害影響に対してF動態は大きく関与すると考えられたため[3], 曝露後の体内Fについて生物学的モニタリングした. |
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ISSN: | 0916-717X 1880-1404 |
DOI: | 10.11299/brte.20.307 |