小児と成人におけるボリコナゾールの血中濃度解析の比較

『緒言』 近年, 造血幹細胞移植の普及や新規抗がん剤の開発などの医療の進歩により, 小児科領域においても移植や抗がん剤による化学療法など積極的治療が行われるようになった. しかし, これらの治療により, 患者は易感染状態になるため, 小児科領域でも抗真菌剤の投与患者が増加している. 小児に保険適応を有する深在性真菌症治療薬は, 2009年1月現在では, ミカファンギンとアムホテリシンBリポソーム製剤のみであるが, これらの薬剤で治療効果が得られない, あるいは副作用により使用が難しい症例も多い. ボリコナゾール(以下, VRCZと略す)はカンジダ, アスペルギルス, クリプトコッカス属をはじめ...

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Published in医療薬学 Vol. 36; no. 4; pp. 213 - 219
Main Authors 伊藤, さつき, 長田, 直人, 横川, 弘一, 石崎, 純子, 菅, 幸生, 前馬, 秀明, 崔, 吉道, 小柴, 美紀恵, 中尾, 眞二, 五十嵐, 康郎, 西村, 良成, 宮本, 謙一, 小泉, 晶一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 01.01.2010
日本医療薬学会
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.36.213

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Summary:『緒言』 近年, 造血幹細胞移植の普及や新規抗がん剤の開発などの医療の進歩により, 小児科領域においても移植や抗がん剤による化学療法など積極的治療が行われるようになった. しかし, これらの治療により, 患者は易感染状態になるため, 小児科領域でも抗真菌剤の投与患者が増加している. 小児に保険適応を有する深在性真菌症治療薬は, 2009年1月現在では, ミカファンギンとアムホテリシンBリポソーム製剤のみであるが, これらの薬剤で治療効果が得られない, あるいは副作用により使用が難しい症例も多い. ボリコナゾール(以下, VRCZと略す)はカンジダ, アスペルギルス, クリプトコッカス属をはじめとする真菌に広いスペクトルを有する深在性真菌症治療薬であり, 成人の侵襲性アスペルギルス症に対する第一選択薬として推奨されている1). このため, VRCZは成人だけではなく小児に対しても必要に応じて投与されるが, 添付文書には小児薬用量に関する記載はなく, 成人用量を参考に使用しているのが現状である.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.36.213