上下肢3か所に多発した腱鞘巨細胞腫の治療経験

〔はじめに〕腱鞘巨細胞腫は手指に多く発生することが知られているが,多発例の報告は稀である.上下肢3か所に多発した稀な腱鞘巨細胞腫の症例を経験したので報告する.〔症例〕45歳男性で,約4年前に左示指に釣り針が刺さった同時期より左示指,左肘,左膝の腫瘤を自覚した.MRIで3か所とも関節外にT1強調画像で等から軽度高信号,T2強調画像で低信号,造影で不均一に造影される境界明瞭な腫瘤を認めた.左膝腫瘤の切除生検を施行した結果,腱鞘巨細胞腫の診断に至った.生検と画像所見より,多発腱鞘巨細胞腫と判断し,3か所同時に腫瘍摘出術を施行し,最終診断もすべて腱鞘巨細胞腫であった.〔考察〕我々が渉猟しえた限りでは多...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 70; no. 4; pp. 749 - 753
Main Authors 川野, 啓介, 横江, 琢示, 當瀬, 雅大, 大田, 智美, 長澤, 誠, 川越, 秀一, 帖佐, 悦男, 坂本, 武郎, 田島, 卓也, 森田, 雄大, 山口, 奈美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2021
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.70.749

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Summary:〔はじめに〕腱鞘巨細胞腫は手指に多く発生することが知られているが,多発例の報告は稀である.上下肢3か所に多発した稀な腱鞘巨細胞腫の症例を経験したので報告する.〔症例〕45歳男性で,約4年前に左示指に釣り針が刺さった同時期より左示指,左肘,左膝の腫瘤を自覚した.MRIで3か所とも関節外にT1強調画像で等から軽度高信号,T2強調画像で低信号,造影で不均一に造影される境界明瞭な腫瘤を認めた.左膝腫瘤の切除生検を施行した結果,腱鞘巨細胞腫の診断に至った.生検と画像所見より,多発腱鞘巨細胞腫と判断し,3か所同時に腫瘍摘出術を施行し,最終診断もすべて腱鞘巨細胞腫であった.〔考察〕我々が渉猟しえた限りでは多発例は32報告で,上下肢に及ぶ2か所発生例,3病変の発生例はそれぞれ1例のみであった.本症例は上下肢に及ぶ3病変の多発例であり,稀な症例であると思われた.〔結語〕本症例は再発リスク因子が多く,今後の慎重な経過観察が必要と考える.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.70.749