懐かしい昭和時代の映像視聴による認知症高齢者および介護職員の心身反応

目的:本研究の目的は,楽しく心地よいと感じる映像を用いて簡単に実施できる静的・受動的アクティビティケアの効果と実施可能性を,脈拍,血圧,自律神経活動バランスLF/HFを測定するとともに視聴中の利用者の表情と映像への興味・関心の程度を観察することで検討し,介護現場や在宅ケアでの活用のエビデンスを得ることである.方法:認知症対応型共同生活介護(グループホーム)1施設に入居していた利用者12人および介護職員12人を対象にして,20分に構成した昭和時代の生活の様子や遊びの映像の視聴を行った.結果:利用者,介護職員ともに,視聴の前後で脈拍,血圧,自律神経活動バランスLF/HFに有意差はみられなかったが,...

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Published in山口医学 Vol. 72; no. 1; pp. 19 - 28
Main Authors 堤, 雅恵, 末永, 弘美, 永田, 千鶴, 野垣, 宏, 児玉, 悦子, 礒村, 由美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 28.02.2023
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Summary:目的:本研究の目的は,楽しく心地よいと感じる映像を用いて簡単に実施できる静的・受動的アクティビティケアの効果と実施可能性を,脈拍,血圧,自律神経活動バランスLF/HFを測定するとともに視聴中の利用者の表情と映像への興味・関心の程度を観察することで検討し,介護現場や在宅ケアでの活用のエビデンスを得ることである.方法:認知症対応型共同生活介護(グループホーム)1施設に入居していた利用者12人および介護職員12人を対象にして,20分に構成した昭和時代の生活の様子や遊びの映像の視聴を行った.結果:利用者,介護職員ともに,視聴の前後で脈拍,血圧,自律神経活動バランスLF/HFに有意差はみられなかったが,利用者全員が映像に20分間強い興味・関心を示し,途中退席することはなかった.結論:本研究の結果から,個別の好みの映像を選択することを考慮した上で,映像を用いた静的・受動的アクティビティケアを介護現場や在宅ケアで活用する意義があると考えられる.
ISSN:0513-1731
1880-4462
DOI:10.2342/ymj.72.19