歩行中の足圧中心軌跡左右動揺量の定量化の試み

本研究は歩行中のCOP軌跡の実測値と近似曲線の差からCOP軌跡左右動揺量として定量化し,歩行中の身体各部の身体重心左右変位量との関連を求めることで,歩行の指標としての有効性を検討することを目的とした.被験者は若年男性10名を対象に,10 mの歩行路を自由速度で歩行させた.3.6 mの位置にある床反力計に右脚接地させ,このときのCOPの位置と全身22か所のマーカーにおける左右方向の変位を計測し,それぞれCOP軌跡左右動揺量と14セグメントの身体重心左右変位量を算出した.その結果,COP軌跡左右動揺量は歩行周期間で有意差がみられ,歩行中に不安定とされる踵接地,離地時においてCOP軌跡左右動揺量は大...

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Published in人間工学 Vol. 58; no. 1; pp. 31 - 36
Main Authors 岡本, 光平, 齋藤, 誠二, 淺田, 裕司, 松永, 凌, 信畑, 卓哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人間工学会 15.02.2022
日本人間工学会
Subjects
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ISSN0549-4974
1884-2844
DOI10.5100/jje.58.31

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Summary:本研究は歩行中のCOP軌跡の実測値と近似曲線の差からCOP軌跡左右動揺量として定量化し,歩行中の身体各部の身体重心左右変位量との関連を求めることで,歩行の指標としての有効性を検討することを目的とした.被験者は若年男性10名を対象に,10 mの歩行路を自由速度で歩行させた.3.6 mの位置にある床反力計に右脚接地させ,このときのCOPの位置と全身22か所のマーカーにおける左右方向の変位を計測し,それぞれCOP軌跡左右動揺量と14セグメントの身体重心左右変位量を算出した.その結果,COP軌跡左右動揺量は歩行周期間で有意差がみられ,歩行中に不安定とされる踵接地,離地時においてCOP軌跡左右動揺量は大きくなることが示された.また,COP軌跡左右動揺量と右前腕,右上腕,左上腕,頭,胴体部の左右変位量との関連がみられた.以上のことから,COP軌跡左右動揺量は身体各部の動揺やそのタイミングを評価できる指標となる可能性が示された.
ISSN:0549-4974
1884-2844
DOI:10.5100/jje.58.31