小児の歯肉炎評価におけるGCFの応用に関する検討

歯肉炎の評価は視診もしくはプロービングによる方法が一般的であり,検診の場で使用可能な非侵襲的で簡便性,客観性,再現性を併せもつ検査方法はないのが現状である.本研究では,歯肉溝滲出液( GCF) 中の成分が歯肉炎バイオマーカーとして有用であるかを検討した. 対象は北九州市内某小学校5,6年生107名である.ブロッティングブラシ(以下,ブラシ)で採取したGCF中のα-1 アンチトリプシン(A1AT),ラクトフェリン(Lf) 他4成分(AST,ALT,ALP,LDH)を定量し,PMA index(PMA),プラーク付着状態(PlI)との比較を行った.PMA,PlIを低値群と高値群に2値化し,GCF成...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 69; no. 1; pp. 19 - 26
Main Authors 葭原, 明弘, 福井, 誠, 片岡, 正太, 岩﨑, 正則, 角田, 聡子, 平山, 綾, 安細, 敏弘, 横田, 誠, 邵, 仁浩, 茂山, 博代, 玉木, 直文, 諏訪間, 加奈, 鶴田, 実穂, 伊藤, 博夫, 牛島, 直文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 01.01.2019
日本口腔衛生学会
Subjects
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.69.1_19

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Summary:歯肉炎の評価は視診もしくはプロービングによる方法が一般的であり,検診の場で使用可能な非侵襲的で簡便性,客観性,再現性を併せもつ検査方法はないのが現状である.本研究では,歯肉溝滲出液( GCF) 中の成分が歯肉炎バイオマーカーとして有用であるかを検討した. 対象は北九州市内某小学校5,6年生107名である.ブロッティングブラシ(以下,ブラシ)で採取したGCF中のα-1 アンチトリプシン(A1AT),ラクトフェリン(Lf) 他4成分(AST,ALT,ALP,LDH)を定量し,PMA index(PMA),プラーク付着状態(PlI)との比較を行った.PMA,PlIを低値群と高値群に2値化し,GCF成分との比較を行ったところ,PMAではすべての成分,PlIではLDH以外の成分で有意(p<0.05)に関連していた.さらに,ROC曲線から求めたPMA,PlIに対する各成分のカットオフ値はそれぞれ,A1ATが283.8,248.3,Lfが152.1,114.4,ASTが4.5,2.5,ALTはともに1.5,ALPは2.5,PMAでのLDHが26.0であった.陽性尤度比は1.5から3.0程度となった. 以上の結果からGCF中A1AT,Lf,AST,ALTおよびALPは小児を対象とした歯肉炎スクリーニングのバイオマーカーとして有用であることが示唆された.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.69.1_19