エビデンスに基づいた血清亜鉛値による亜鉛欠乏症の診断基準値
「Iはじめに」1963年Prasadらにより, はじめてヒトの続発性亜鉛欠乏症が発見された. 原因はフィチンの多い食事によるものであり, 成長および二次性徴の遅れ, 食欲不振, 味覚, 嗅覚異常, 皮疹, 脱毛など亜鉛欠乏による多彩な臨床症状が示され, かつ, それらの症状は亜鉛内服治療により速やかに消褪することが報告された1). 日本におけるヒトの亜鉛欠乏についての組織だった臨床研究は, 1975年, 徴量金属代謝研究会の発足に始まる2). そして, 亜鉛欠乏の診断の材料として血液成分とくに血清亜鉛値の測定については, フレーム原子吸光法その他の分析法の精度管理, 正常値の設定, 日内変動,...
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Published in | BIOMEDICAL RESEARCH ON TRACE ELEMENTS Vol. 18; no. 1; pp. 54 - 62 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本微量元素学会
2007
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ISSN | 0916-717X 1880-1404 |
DOI | 10.11299/brte.18.54 |
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Summary: | 「Iはじめに」1963年Prasadらにより, はじめてヒトの続発性亜鉛欠乏症が発見された. 原因はフィチンの多い食事によるものであり, 成長および二次性徴の遅れ, 食欲不振, 味覚, 嗅覚異常, 皮疹, 脱毛など亜鉛欠乏による多彩な臨床症状が示され, かつ, それらの症状は亜鉛内服治療により速やかに消褪することが報告された1). 日本におけるヒトの亜鉛欠乏についての組織だった臨床研究は, 1975年, 徴量金属代謝研究会の発足に始まる2). そして, 亜鉛欠乏の診断の材料として血液成分とくに血清亜鉛値の測定については, フレーム原子吸光法その他の分析法の精度管理, 正常値の設定, 日内変動, 採血時の金属汚染の問題などについて討議された. そしてわれわれは, 1977年第11回味と旬のシンポジウムにおいて, 味覚障害患者112例の血清亜鉛値の集計を初めて報告した3). その際われわれはフレーム原子吸光法による血清亜鉛値を, 59μg/dl以下を真の亜鉛欠乏, 60~69μg/dlを境界値(潜在性亜鉛欠乏を想定), 70μg/dl以上を正常と解釈して分類した. その後3回, その基準に従って大標本の統計を発表した. 4), 5), 6)最近行われた全国調査によれば, 味覚障害患者は, 年間24万人と13年前の調査より1.8倍増加している. 7)すなわち実地臨床における血清亜鉛倍の測定の頻度は増大している. |
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ISSN: | 0916-717X 1880-1404 |
DOI: | 10.11299/brte.18.54 |