分光電気化学法による光合成光化学系II電子受容分子の酸化還元電位計測

「1.はじめに」 酸素発生型の光合成では, 2つの光化学系(Photosystem: PS)が, 光エネルギーを化学エネルギーに高効率に変換している. PSは機能分子とタンパク質からなる複合体であり, 水を分解して酸素を発生する反応がPSIIとよばれる複合体で行われ, 他方のPSIではNADPHを生成し, 引き続いて起こる炭素固定に必要な還元力を備えている. こうした2つのPSの役割は, 反応に携わる機能分子の酸化還元電位Emによって特徴づけられているといえる. 機能分子のEmをもとにすると, 反応経路はおおまかに図1に示すような模式図で表される1). ここであくまで"おおまか&qu...

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Published in生物物理 Vol. 51; no. 3; pp. 134 - 135
Main Authors 加藤, 祐樹, 渡辺, 正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本生物物理学会 2011
日本生物物理学会
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ISSN0582-4052
1347-4219
DOI10.2142/biophys.51.134

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Summary:「1.はじめに」 酸素発生型の光合成では, 2つの光化学系(Photosystem: PS)が, 光エネルギーを化学エネルギーに高効率に変換している. PSは機能分子とタンパク質からなる複合体であり, 水を分解して酸素を発生する反応がPSIIとよばれる複合体で行われ, 他方のPSIではNADPHを生成し, 引き続いて起こる炭素固定に必要な還元力を備えている. こうした2つのPSの役割は, 反応に携わる機能分子の酸化還元電位Emによって特徴づけられているといえる. 機能分子のEmをもとにすると, 反応経路はおおまかに図1に示すような模式図で表される1). ここであくまで"おおまか"であることに注意されたい. というのは, すべてのEmの値が実測されているのではなく, 推測に留まる部分も含まれているからである. また, 実測値も研究者(=サンプル・測定条件など)によってしばしば異なるため, 推測する上での"基準"がぶれるだけでなく, 電位差から導かれるギブズ自由エネルギー変化ΔG(=-eΔEm)も実態とかけ離れている場合がある.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.51.134