亜鉛トランスポーターSlc39a13/Zip13:結合組織発生における役割とヒト遺伝性疾患への関与

『-亜鉛恒常性の制御とその意義について-』 亜鉛は, 亜鉛結合ドメインを介して多くの蛋白質の構造の維持や活性調節に貢献しており, 細胞の増殖, 分化, 移動, そして死が関わる生体応答の亜鉛による調節機構の存在が示唆される[1]. 最近のヒトゲノム配列の解読から, 約300以上の酵素が亜鉛を補酵素として要求し, さらに全遺伝子の約10%の蛋白質が亜鉛結合ドメインを有する可能性が示唆されており[2], これらのin silicoの情報だけを考えても亜鉛の必要性に疑う余地はない. 亜鉛は生体を構成する体液, 間質, 上皮および全ての細胞に存在し, ヒト成人(体重60kg)では総亜鉛量として約2gを...

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Published inBIOMEDICAL RESEARCH ON TRACE ELEMENTS Vol. 21; no. 1; pp. 17 - 24
Main Author 深田, 俊幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本微量元素学会 2010
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ISSN0916-717X
1880-1404
DOI10.11299/brte.21.17

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Summary:『-亜鉛恒常性の制御とその意義について-』 亜鉛は, 亜鉛結合ドメインを介して多くの蛋白質の構造の維持や活性調節に貢献しており, 細胞の増殖, 分化, 移動, そして死が関わる生体応答の亜鉛による調節機構の存在が示唆される[1]. 最近のヒトゲノム配列の解読から, 約300以上の酵素が亜鉛を補酵素として要求し, さらに全遺伝子の約10%の蛋白質が亜鉛結合ドメインを有する可能性が示唆されており[2], これらのin silicoの情報だけを考えても亜鉛の必要性に疑う余地はない. 亜鉛は生体を構成する体液, 間質, 上皮および全ての細胞に存在し, ヒト成人(体重60kg)では総亜鉛量として約2gを含有する. この総亜鉛量を維持する為には毎日約20mgの亜鉛摂取を必要とし, 食事から得られた亜鉛は亜鉛トランスポーターによって小腸粘膜を通過して吸収される. 成長過程における亜鉛の重要性は小児における亜鉛欠乏症によって広く認識されているが, そのきっかけはPrasadによる低身長と貧血を伴う小児疾患の発見であった[3].
ISSN:0916-717X
1880-1404
DOI:10.11299/brte.21.17