亜鉛酵素「アンギオテンシン変換酵素」活性比を用いた味覚障害患者の亜鉛栄養状態の評価

『はじめに』 味覚障害が亜鉛欠乏症の症状の1つであることはよく知られている[1, 2]. また, 血清亜鉛値が正常な味覚障害患者であっても亜鉛補充療法により味覚が改善することから, 味覚障害患者のなかには潜在的な亜鉛欠乏性味覚障害患者がかなり存在していると考えられてきた[3]. この臨床的事実はさらに, 血清亜鉛値が亜鉛の栄養状態の評価として適当ではないことも示唆している. 我々は, 亜鉛要求性酵素であるアンギオテンシン変換酵素(ACE)を用いた新しい亜鉛栄養状態の評価法を開発した. 本稿では, ACE活性比を用いた味覚障害患者の亜鉛栄養状態の評価, 亜鉛補充療法の効果, 亜鉛の摂取量について...

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Published inBIOMEDICAL RESEARCH ON TRACE ELEMENTS Vol. 21; no. 1; pp. 32 - 37
Main Author 武田, 憲昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本微量元素学会 2010
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ISSN0916-717X
1880-1404
DOI10.11299/brte.21.32

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Summary:『はじめに』 味覚障害が亜鉛欠乏症の症状の1つであることはよく知られている[1, 2]. また, 血清亜鉛値が正常な味覚障害患者であっても亜鉛補充療法により味覚が改善することから, 味覚障害患者のなかには潜在的な亜鉛欠乏性味覚障害患者がかなり存在していると考えられてきた[3]. この臨床的事実はさらに, 血清亜鉛値が亜鉛の栄養状態の評価として適当ではないことも示唆している. 我々は, 亜鉛要求性酵素であるアンギオテンシン変換酵素(ACE)を用いた新しい亜鉛栄養状態の評価法を開発した. 本稿では, ACE活性比を用いた味覚障害患者の亜鉛栄養状態の評価, 亜鉛補充療法の効果, 亜鉛の摂取量について解説する[4, 5, 6]. 『新しい亜鉛栄養状態の評価法であるACE活性比の開発』 亜鉛栄養状態の評価には, 一般的に血清亜鉛値が用いられてきた. しかし, 血中の亜鉛の約80%がアルブミンと, 18%がα2-ミクログロブリンと結合しており, 侵襲や炎症の影響を受ける[7].
ISSN:0916-717X
1880-1404
DOI:10.11299/brte.21.32