FAP の遺伝子診断におけるMLPA 法の有用性

家族性大腸腺腫症(Familial Adenomatous Polyposis: 以下FAP)は通常,常染色体優性遺伝性疾患と考えられてきたが,近年になって常染色体劣性遺伝形式に相当する患者家系の存在が指摘されてきた.この事実から,FAPの遺伝カウンセリングにおいて,遺伝子診断の意義が大きく変化し,以前に比較してより一層拡大した.特に家族歴のないFAP 患者で遺伝形式を明確にするためには,遺伝子検査により遺伝子変異を特定することが非常に重要である.従来から用いられてきたDNA ダイレクトシークエンス法では,約20 %程度の患者家系で遺伝子変異を検出できない.そのような症例に対し,新たな遺伝子検...

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Published in家族性腫瘍 Vol. 9; no. 1; pp. 9 - 12
Main Authors 丸瀬, 英明, 権藤, 延久, 東, 央晋, 冨田, 尚裕, 古井, 陽介, 横山, 士郎, 福井, 崇史, 田村, 和朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本家族性腫瘍学会 2009
一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
The Japanese Society for Hereditary Tumors
Subjects
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ISSN1346-1052
2189-6674
DOI10.18976/jsft.9.1_9

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Summary:家族性大腸腺腫症(Familial Adenomatous Polyposis: 以下FAP)は通常,常染色体優性遺伝性疾患と考えられてきたが,近年になって常染色体劣性遺伝形式に相当する患者家系の存在が指摘されてきた.この事実から,FAPの遺伝カウンセリングにおいて,遺伝子診断の意義が大きく変化し,以前に比較してより一層拡大した.特に家族歴のないFAP 患者で遺伝形式を明確にするためには,遺伝子検査により遺伝子変異を特定することが非常に重要である.従来から用いられてきたDNA ダイレクトシークエンス法では,約20 %程度の患者家系で遺伝子変異を検出できない.そのような症例に対し,新たな遺伝子検査方法であるMultiplex Ligation-dependent Probe Amplification法(MLPA 法)を適用することで,検出率の改善に寄与することが期待でき,臨床的有用性は高いと考えている
ISSN:1346-1052
2189-6674
DOI:10.18976/jsft.9.1_9