チザニジンの副作用に関する実態調査 —Cytochrome P450 1A2に影響する薬剤の併用との関連
「緒言」筋緊張緩和薬のチザニジン(tizanidine; Tz)は, 多発性硬化症や肩こり, 腰痛症等に対して広く使用されているα2作動薬である. 1)Tzの肝臓における主な代謝酵素はcytochrome P450(CYP)1A2であり, その代謝寄与率は98%以上と報告されている. 2)そのためCYP1A2活性に影響する薬剤を併用投与した場合, Tzの血中濃度変動による薬物相互作用が発現し易い. 実際に健常被験者を対象にCYP1A2阻害薬との併用試験が行われており, フルボキサミンやシプロフロキサシンの併用ではTz血中濃度の著しい上昇(10-33倍)を伴う薬物相互作用が報告されている. 3,...
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Published in | YAKUGAKU ZASSHI Vol. 133; no. 2; pp. 275 - 281 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本薬学会
2013
日本薬学会 |
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Summary: | 「緒言」筋緊張緩和薬のチザニジン(tizanidine; Tz)は, 多発性硬化症や肩こり, 腰痛症等に対して広く使用されているα2作動薬である. 1)Tzの肝臓における主な代謝酵素はcytochrome P450(CYP)1A2であり, その代謝寄与率は98%以上と報告されている. 2)そのためCYP1A2活性に影響する薬剤を併用投与した場合, Tzの血中濃度変動による薬物相互作用が発現し易い. 実際に健常被験者を対象にCYP1A2阻害薬との併用試験が行われており, フルボキサミンやシプロフロキサシンの併用ではTz血中濃度の著しい上昇(10-33倍)を伴う薬物相互作用が報告されている. 3,4)また具体的な臨床症例として, 両CYP1A2阻害薬とTzの併用中に重篤な血圧・脈拍の低下, 排尿障害等を発症するケースも認められており, Tzとの併用は禁忌とされている. 5,6)Tzは, その適応症(肩こりや腰痛)から, 多くの診療科で使用され, CYP1A2に影響する薬剤(阻害・誘導薬や基質薬)との併用頻度も高いと考えられるが, 薬物相互作用の実態は明らかでない. |
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ISSN: | 0031-6903 1347-5231 |
DOI: | 10.1248/yakushi.12-00222 |