脳動静脈奇形の臨床病理学的検討-とくにHEMA-MMAおよびEVAL塞栓術後摘出例の比較検討

• Published in: 脳卒中の外科 Vol. 25; no. 6; pp. 452 - 457
• Main Authors: 木村, 豪雄, 福島, 武雄, 宇都宮, 英綱, 風川, 清, 新井, 鐘一, 河野, 輝昭, 岐部, 道広, 朝長, 正道
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 1997; 日本脳卒中の外科研究会
• ISSN: 0914-5508; 1880-4683
• DOI: 10.2335/scs1987.25.6_452

脳動静脈奇形に対する術前塞栓術において使用されるポリマー系の液体塞栓物質の問題点の1つに, 塞栓物質の溶解に用いる高濃度の有機溶媒に起因する血管壊死や神経細胞毒性がある6). 今回, 我々はHEMA(hydroxyethyl methacrylate)とMMA(methyl methacrylate)の共重合体と低濃度のethanolおよび造影剤iopamidolとを混合した新しい液体塞栓物質HEMA-MMA3)(hydroxyethyl methacrylate methyl metacrylate)を用いて, 脳動脈奇形2症例に対して術前塞栓術を行ったのちに全摘出した. そこでEVAL(ethylene vinyl alcohol copolymer)を用いて, 術前塞栓術を施行した脳動静脈奇形2症例との組織反応の相違を比較検討したので報告する. 対象と方法 HEMA-MMAまたはEVALを用いて術前塞栓術を施行した4例を対象とした(Table1). 基底核部のAVMが1例, 優位半球のAVMが1例と小脳のAVMが2例である. 臨床的症状の内訳は, 頭蓋内出血で発症したものが3例と痙攣発作が1例である. 術前寒栓術の回数は, 1例のみで術前3回にわたり段階的塞栓術を施行したが, 残りの3例はいずれも術前に1度の塞栓術施行後に摘出術を行った. 使用したHEMA-MMAの重量組成3)はHEMA-MMA共重合体5%, iopamidol62%, ethanol(99.9%)7%, 蒸留水31%である(Table2).