術前MDCTで診断した横行結腸間膜裂孔ヘルニアの1例
症例は84歳,女性.腹部手術歴.腹痛と嘔気を主訴に受診.腹部CTでは横行結腸の頭側で拡張した小腸が内ヘルニアとなっており,横行結腸間膜裂孔ヘルニアを疑い緊急手術を施行した.術中所見では,被膜に覆われた小腸が横行結腸間膜の欠損孔より網嚢内に嵌入していた.小腸に血流障害はなく,腸管切除は行わなかった.横行結腸間膜裂孔ヘルニアは,腸間膜裂孔ヘルニアのうち12.2%とまれな疾患である.分類としては,結腸間膜の前後葉が欠損する両葉欠損型と結腸間膜の片葉が欠損し残りの片葉が嚢を形成する片葉欠損型の二つが存在する.本症例は片葉欠損型に分類された.近年,multi detector-row computed...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 6; pp. 1187 - 1192 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2020
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.81.1187 |
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Summary: | 症例は84歳,女性.腹部手術歴.腹痛と嘔気を主訴に受診.腹部CTでは横行結腸の頭側で拡張した小腸が内ヘルニアとなっており,横行結腸間膜裂孔ヘルニアを疑い緊急手術を施行した.術中所見では,被膜に覆われた小腸が横行結腸間膜の欠損孔より網嚢内に嵌入していた.小腸に血流障害はなく,腸管切除は行わなかった.横行結腸間膜裂孔ヘルニアは,腸間膜裂孔ヘルニアのうち12.2%とまれな疾患である.分類としては,結腸間膜の前後葉が欠損する両葉欠損型と結腸間膜の片葉が欠損し残りの片葉が嚢を形成する片葉欠損型の二つが存在する.本症例は片葉欠損型に分類された.近年,multi detector-row computed tomography(以下MDCT)で術前診断可能との報告があるが,本症例も術前にMDCTで横行結腸間膜裂孔ヘルニアと診断しえたので,文献的考察を加えて報告する. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.81.1187 |