喉頭に発生したspindle cell lipomaの一例

• Published in: 喉頭 Vol. 5; no. 1; pp. 72 - 75
• Main Authors: 野中, 聡, 榎本, 啓一, 川堀, 眞一, 海野, 徳二
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 日本喉頭科学会 1993
• Subjects: 喉頭; 良性腫瘍
• ISSN: 0915-6127; 2185-4696
• DOI: 10.5426/larynx1989.5.1_72

「はじめに」喉頭に発生する良性腫瘍の大部分は乳頭腫である. その他の腫瘍としては腺腫, 血管腫, リンパ管腫, 線維腫, 脂肪腫, 筋腫, 軟骨腫などの発生が報告されているものの, いずれの腫瘍も発生頻度はきわめて低い1）. spindle cell lipomaはEnzingerら2）によって報告された組織学的に特殊な形態を示す脂肪腫の一亜型であり, その組織学的特殊性より脂肪肉腫と誤診しやすい良性腫瘍である2）. 本腫瘍の多くは中高年男子の後頸部や肩甲部に好発することが知られている2～4）. 今回, 我々は喉頭内に生じたspindle cell lipomaの一例を経験したので, その治療経過を報告するとともに電子顕微鏡（電顕）所見についても検討を加えた. 本腫瘍が頭頸部領域に発生した例は非常に少なく, とくに喉頭内の発生は, 我々の検索できた範囲において, いまだ報告されていない. 「症例」