セルトリ細胞腫による骨髄抑制にトロンボポエチン受容体作動薬で治療した犬の2例

1頭は歯肉出血,1頭は排便障害を主訴に来院した2頭の未去勢雄に停留精巣,雌性化,血中エストラジオール濃度増加を認めた。病理組織検査でセルトリ細胞腫と診断された。症例1は汎血球減少症と骨髄重度低形成を認めた。炭酸リチウム,ダルベポエチン, 組換え人顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF),蛋白同化ステロイドによる治療に対して無効で,トロンボポエチン受容体作動薬のロミプロスチムを投与したところ,血球減少症の改善が認められ,骨髄造血の回復も確認された。症例2は血小板減少症と軽度の貧血がみられ,骨髄は正~過形成髄で巨核球系細胞は低形成であった。その後好中球減少症も認められたため,ロミプロスチムやG-CSF...

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Published in動物臨床医学 Vol. 24; no. 4; pp. 180 - 184
Main Authors 酒井, 秀夫, 澤本, 吉貴, 酒井, 聖花, 阿野, 仁志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 動物臨床医学会 2015
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Summary:1頭は歯肉出血,1頭は排便障害を主訴に来院した2頭の未去勢雄に停留精巣,雌性化,血中エストラジオール濃度増加を認めた。病理組織検査でセルトリ細胞腫と診断された。症例1は汎血球減少症と骨髄重度低形成を認めた。炭酸リチウム,ダルベポエチン, 組換え人顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF),蛋白同化ステロイドによる治療に対して無効で,トロンボポエチン受容体作動薬のロミプロスチムを投与したところ,血球減少症の改善が認められ,骨髄造血の回復も確認された。症例2は血小板減少症と軽度の貧血がみられ,骨髄は正~過形成髄で巨核球系細胞は低形成であった。その後好中球減少症も認められたため,ロミプロスチムやG-CSFを投与したところ血球減少は改善し,骨髄では巨核球の回復も確認した。ロミプロスチムは犬のセルトリ細胞腫に起因する骨髄抑制に対し有効な治療となることが示唆された。
ISSN:1344-6991
1881-1574
DOI:10.11252/dobutsurinshoigaku.24.180