頭頸部神経内分泌小細胞癌8症例の臨床病理学的検討

頭頸部に発生する神経内分泌小細胞癌は, 比較的まれで悪性度が高く, 確定診断が困難なことが多い. また遠隔転移の多さも本疾患の予後を悪くしている. 1979年から2006年までに当科で経験した神経内分泌小細胞癌について報告する. 症例は8例で, 平均年齢は62歳 (45~80歳) で全例男性であった. 発生部位は, 上顎洞3例, 篩骨洞2例, 扁桃, 喉頭, 耳下腺が1例ずつであった. 初診時, 全例がT4もしくはN2以上の進行癌で, 4例は初回病理診断で悪性リンパ腫あるいは未分化癌が疑われ, 診断が確定しなかった. 診断確定には免疫染色および電子顕微鏡による神経内分泌顆粒の確認が有用であった...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 111; no. 7; pp. 517 - 522
Main Authors 山元, 理恵子, 岡村, 純, 峯田, 周幸, 細川, 誠二, 大和谷, 崇, 森田, 祥
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 2008
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.111.517

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Summary:頭頸部に発生する神経内分泌小細胞癌は, 比較的まれで悪性度が高く, 確定診断が困難なことが多い. また遠隔転移の多さも本疾患の予後を悪くしている. 1979年から2006年までに当科で経験した神経内分泌小細胞癌について報告する. 症例は8例で, 平均年齢は62歳 (45~80歳) で全例男性であった. 発生部位は, 上顎洞3例, 篩骨洞2例, 扁桃, 喉頭, 耳下腺が1例ずつであった. 初診時, 全例がT4もしくはN2以上の進行癌で, 4例は初回病理診断で悪性リンパ腫あるいは未分化癌が疑われ, 診断が確定しなかった. 診断確定には免疫染色および電子顕微鏡による神経内分泌顆粒の確認が有用であった. 治療法は肺小細胞癌に準じたVP16およびCDDPによる化学療法と放射線治療が中心で, 手術治療も行われたのは2例のみであった. 5例が8~12カ月で原病死, 1例が10カ月坦癌生存, 2例がそれぞれ1年3カ月と8年無病生存している. 死亡症例は全例遠隔転移による死亡であった. 放射線治療や化学療法が奏効し, 8例中局所再発したものは1例のみであった. 悪性度が高い疾患であり, 病変の早期発見, 早期診断と遠隔転移の制御を含めた, さらにより有効な治療法が望まれる.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.111.517