軟部肉腫肺転移症例の終末期緩和医療に経鼻的持続陽圧呼吸療法が有用であった1例

【背景】悪性骨軟部腫瘍肺転移の終末期には,腫瘍増大や癌性リンパ管症による呼吸困難に対する症状緩和が必要となる場合が多い.緩和医療として経鼻的持続陽圧呼吸(以下,nasal CPAP)が有効であった症例を経験したので報告する.【症例】66歳男性.左大腿軟部肉腫の診断のもと広範切除術を施行.術後経過観察中,肺門部リンパ節転移,多発骨転移,および癌性リンパ管症をきたし,呼吸状態増悪のため入院となった.呼吸困難に対しnasal CPAPを開始することで症状改善が得られ,亡くなる直前まで会話などの意思疎通が可能であった.【考察】終末期の呼吸器症状に対しては,多くの場合モルヒネやステロイド薬の使用といった...

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Published inPalliative Care Research Vol. 15; no. 3; pp. 233 - 237
Main Authors 山上, 佳樹, 辻, 晃仁, 村上, あきつ, 福岡, 奈津子, 中條, 浩介, 西村, 英樹, 山本, 哲司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本緩和医療学会 2020
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ISSN1880-5302
DOI10.2512/jspm.15.233

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Summary:【背景】悪性骨軟部腫瘍肺転移の終末期には,腫瘍増大や癌性リンパ管症による呼吸困難に対する症状緩和が必要となる場合が多い.緩和医療として経鼻的持続陽圧呼吸(以下,nasal CPAP)が有効であった症例を経験したので報告する.【症例】66歳男性.左大腿軟部肉腫の診断のもと広範切除術を施行.術後経過観察中,肺門部リンパ節転移,多発骨転移,および癌性リンパ管症をきたし,呼吸状態増悪のため入院となった.呼吸困難に対しnasal CPAPを開始することで症状改善が得られ,亡くなる直前まで会話などの意思疎通が可能であった.【考察】終末期の呼吸器症状に対しては,多くの場合モルヒネやステロイド薬の使用といった薬物療法で症状緩和を目指すことが多いものの,十分な症状改善が得られないことも多い.nasal CPAPは非侵襲的で着脱も可能であることから本症例のような一般的な薬物療法にて改善が得られない呼吸困難に対して有用な可能性がある.
ISSN:1880-5302
DOI:10.2512/jspm.15.233