地域における保健・医療・福祉のネットワークづくり

「はじめに」(司会・市川英彦):「原点に帰って」昔の厚生連病院をみると,その医療・医学は農民(住民)のものであるという基本理念に基づいて展開されていた. 従って医療の地域化,包括化そして住民参加は厚生連病院の大きな特徴であった. その中で住民の幅広いご要望には,すべて自己完結の形で応えざるを得なかった. ところが近年にいたって,医療の高度化,専門化(部分化),環境の変化や高齢化に伴う疾病構造の変化,保健介護福祉への参加など,求められる任務は飛躍的に拡大し,多様化した. 一方医療財政の逼迫を理由とする医療制度の大改革の奔流の中で,機能分化と地域医療連携が「生き残りの大命題」とされ,自己完結からネ...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 54; no. 6; pp. 867 - 870
Main Authors 市川英彦, 片桐健二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2006
日本農村医学会
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Summary:「はじめに」(司会・市川英彦):「原点に帰って」昔の厚生連病院をみると,その医療・医学は農民(住民)のものであるという基本理念に基づいて展開されていた. 従って医療の地域化,包括化そして住民参加は厚生連病院の大きな特徴であった. その中で住民の幅広いご要望には,すべて自己完結の形で応えざるを得なかった. ところが近年にいたって,医療の高度化,専門化(部分化),環境の変化や高齢化に伴う疾病構造の変化,保健介護福祉への参加など,求められる任務は飛躍的に拡大し,多様化した. 一方医療財政の逼迫を理由とする医療制度の大改革の奔流の中で,機能分化と地域医療連携が「生き残りの大命題」とされ,自己完結からネットワーク型への転換が迫られるようになった. 現在様々な目的,形態の地域医療連携が続々と登場している. しかしこれらはサービス提供側のものであり,住民の側のものではない. 住民の「いのち」と「くらし」を守り発展させる,高いレベルのネットワークが構築されなければならない.
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.54.867