小児におけるボリコナゾールによる肝障害の臨床的特徴に関する調査

「緒言」深在性真菌症は, 免疫機能が正常であれば通常発症することはなく, 重篤な基礎疾患やその治療のために免疫機能が低下した宿主に日和見感染として発症する. 小児においても, 成人と同様に造血幹細胞移植や抗腫瘍薬をはじめとした白血病などに対する治療, ステロイド薬や免疫抑制薬による治療が一般化され, 深在性真菌症の発生頻度は増加している. また悪性血液疾患の治療中に発症した深在性真菌症は難治であり, 特に侵襲性アスペルギルス症は死亡率が高い. ボリコナゾール(voriconazole: VRCZ)は, アスペルギルス属, フサリウム属, スケドスポリウム属の糸状菌やCandida glabra...

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Published in医療薬学 Vol. 44; no. 3; pp. 147 - 154
Main Authors 大石, 博史, 三角, 紳博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 10.03.2018
日本医療薬学会
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Summary:「緒言」深在性真菌症は, 免疫機能が正常であれば通常発症することはなく, 重篤な基礎疾患やその治療のために免疫機能が低下した宿主に日和見感染として発症する. 小児においても, 成人と同様に造血幹細胞移植や抗腫瘍薬をはじめとした白血病などに対する治療, ステロイド薬や免疫抑制薬による治療が一般化され, 深在性真菌症の発生頻度は増加している. また悪性血液疾患の治療中に発症した深在性真菌症は難治であり, 特に侵襲性アスペルギルス症は死亡率が高い. ボリコナゾール(voriconazole: VRCZ)は, アスペルギルス属, フサリウム属, スケドスポリウム属の糸状菌やCandida glabrata, Candida kruseiを含むカンジダ属, クリプトコッカス属の酵母菌などの病原真菌に対して優れた抗真菌活性を有するトリアゾール系抗真菌薬である. さらに, 侵襲性アスペルギルス症の標的治療に対するVRCZとアムホテリシンB(amphotericin B: AMPH-B)のランダム化比較試験では, 有効率, 生存率, 安全性などにおいてVRCZがAMPH-Bに比べて有意に優ることが報告されている.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.44.147