嚥下障害の手術療法

「はじめに」現在, 摂食嚥下障害への治療において摂食嚥下リハビリテーション(嚥下リハ)が有効であることが広く認識されているが, 手術治療の有効性についてはあまり知られていない. しかし私達耳鼻咽喉科医師は, 手術により飛躍的に嚥下障害患者のQOLが改善することを経験しており, 今後も手術の有効性を多くの嚥下障害治療に携わる方々に啓蒙し, 発展させていきたいと考える. 本稿では, 嚥下障害の治療において主として行われる嚥下リハに対する手術治療の位置付け, すなわちどのような適応や時期で, またどのように嚥下リハの治療の一手段として手術を行うかを明確にし, 嚥下障害の手術治療のためのマネージメント...

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Bibliographic Details
Published in喉頭 Vol. 28; no. 2; pp. 102 - 106
Main Author 長井, 美樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本喉頭科学会 2016
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ISSN0915-6127
2185-4696
DOI10.5426/larynx.28.102

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Summary:「はじめに」現在, 摂食嚥下障害への治療において摂食嚥下リハビリテーション(嚥下リハ)が有効であることが広く認識されているが, 手術治療の有効性についてはあまり知られていない. しかし私達耳鼻咽喉科医師は, 手術により飛躍的に嚥下障害患者のQOLが改善することを経験しており, 今後も手術の有効性を多くの嚥下障害治療に携わる方々に啓蒙し, 発展させていきたいと考える. 本稿では, 嚥下障害の治療において主として行われる嚥下リハに対する手術治療の位置付け, すなわちどのような適応や時期で, またどのように嚥下リハの治療の一手段として手術を行うかを明確にし, 嚥下障害の手術治療のためのマネージメントに関する提言を行う. 「現在の手術治療の位置付け」摂食嚥下障害に対する治療の歴史を手術と嚥下リハに分けて表1に示す. 嚥下障害に対する最古の手術治療の報告は, 1948年に米国のNaffzigerらが銃弾外傷後の片側性咽頭麻痺による嚥下障害に対し咽頭壁補強手術を施行したものである.
ISSN:0915-6127
2185-4696
DOI:10.5426/larynx.28.102