ICG異常停滞とICG試験の肝機能検査としての意義について

Indocyanine Green (ICG)およびBroxnsulphalein(BSP)は肝機能の指標として一般的に利用されている. 我々はICG試験を総数3,165回, 延1,704名に行い, 次の検討をした. ICGは体重当り0.5mg静注し, 症例によりBSPを体重当り5mg静注し, 血中停滞率(R)および血中消失率(K)を求めた. R値が60%以上のものが1,704例中86例(50%)あり, そのうち74例が肝胆道疾患で, 12例は他の種々の疾患が含まれ, 5例はICG(K)の著しい遅延とBSP(K)の正常または軽度異常のある, いわゆるICGとBSPの解離症例であつた. これらの...

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Published in医療 Vol. 31; no. 11; pp. 1205 - 1208
Main Authors 鈴木, 成憲, 旦, 明良, 山田, 信行, 山本, 春美, 佐々木, 伸弥, 島原, 美須子, 竹林, 治朗, 神野, 健二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1977
医療同好会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.31.1205

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Summary:Indocyanine Green (ICG)およびBroxnsulphalein(BSP)は肝機能の指標として一般的に利用されている. 我々はICG試験を総数3,165回, 延1,704名に行い, 次の検討をした. ICGは体重当り0.5mg静注し, 症例によりBSPを体重当り5mg静注し, 血中停滞率(R)および血中消失率(K)を求めた. R値が60%以上のものが1,704例中86例(50%)あり, そのうち74例が肝胆道疾患で, 12例は他の種々の疾患が含まれ, 5例はICG(K)の著しい遅延とBSP(K)の正常または軽度異常のある, いわゆるICGとBSPの解離症例であつた. これらの症例を2年間に4-5回検査したがICG(R)値には変動がなかつた. 5例中2例に肝生検を施行したところ慢性肝炎と脂肪肝を認めた. 重篤な副作用が1例でみられ, アナフイラキシーシヨツクとなり, 治療により回復した. ICG血中消失遅延には体質性因子が関与していると考えられ, これらの症例ではICG試験は肝機能の指標として利用できない.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.31.1205