くも膜下出血後のQT延長症候群から心室性頻拍, 心室細動を繰り返した1例

くも膜下出血発症当日に救急外来に搬送され, 右前大脳動脈脳動脈瘤が見つかったためクリッピング術が予定された患者で, 手術室入室後にtorsades de pointesを発症した症例を経験した。心マッサージで洞調律に戻ったが, 手術から帰室後にはQT時間が0.509秒に延長し, T波に重なる異常U波の増高とT波の交代現象が見られた。翌日も頻回のtorsades de pointes, 心室細動を繰り返したが, 心マッサージ, 除細動で軽快した。くも膜下出血発症24時間はQT延長症候群となる症例が多く, 経時的な12誘導心電図の記録, 持続心電図モニタリングの必要, β遮断薬の投与, 血清Kの補...

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Published in蘇生 Vol. 19; no. 2; pp. 146 - 150
Main Authors 貝沼, 関志, 藤井, 航, 山田, 守正, 伊藤, 立志, 渡辺, 伸一, 三宅, 聰行, 神野, 哲夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本蘇生学会 2000
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Summary:くも膜下出血発症当日に救急外来に搬送され, 右前大脳動脈脳動脈瘤が見つかったためクリッピング術が予定された患者で, 手術室入室後にtorsades de pointesを発症した症例を経験した。心マッサージで洞調律に戻ったが, 手術から帰室後にはQT時間が0.509秒に延長し, T波に重なる異常U波の増高とT波の交代現象が見られた。翌日も頻回のtorsades de pointes, 心室細動を繰り返したが, 心マッサージ, 除細動で軽快した。くも膜下出血発症24時間はQT延長症候群となる症例が多く, 経時的な12誘導心電図の記録, 持続心電図モニタリングの必要, β遮断薬の投与, 血清Kの補正, 血中カテコラミン濃度の上昇を最小限に抑える麻酔管理, 硫酸マグネシウムの準備などが必要である。
ISSN:0288-4348
1884-748X
DOI:10.11414/jjreanimatology1983.19.146