難治性尿路感染症に対する一考察

治癒しがたいか, しばしば再発するいわゆる難治性膀胱炎および腎盂腎炎についてその難治性の原因を検討した. 膀胱炎にはレ線連続撮影法にて膀胱の形態および排尿に伴う形態の変化を観察し, 24例中13例は正常型と考えられたが, 11例に異常を認め, そのうち8例には婦人科的手術の既往があつた. 治療上では膀胱の形, 動態に変化あるものの方が変化なき正常型と考えられるものより成績がやや劣つていた. 難治性腎盂腎炎では20例中5例に著明な遊走腎を認め, 腎固定術で良好な結果を得た. 以上により膀胱炎ではその形, 動態に異常変形あることが難治の一因をなすことが考えられ, 腎盂腎炎では遊走腎のあることが難治...

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Published in医療 Vol. 30; no. 12; pp. 1145 - 1149
Main Authors 岩田, 正三, 中薗, 昌明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1976
医療同好会
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Summary:治癒しがたいか, しばしば再発するいわゆる難治性膀胱炎および腎盂腎炎についてその難治性の原因を検討した. 膀胱炎にはレ線連続撮影法にて膀胱の形態および排尿に伴う形態の変化を観察し, 24例中13例は正常型と考えられたが, 11例に異常を認め, そのうち8例には婦人科的手術の既往があつた. 治療上では膀胱の形, 動態に変化あるものの方が変化なき正常型と考えられるものより成績がやや劣つていた. 難治性腎盂腎炎では20例中5例に著明な遊走腎を認め, 腎固定術で良好な結果を得た. 以上により膀胱炎ではその形, 動態に異常変形あることが難治の一因をなすことが考えられ, 腎盂腎炎では遊走腎のあることが難治の一因をなすことが考えられた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.30.1145