肺高血圧患者の循環管理
肺高血圧症(PH)を伴う患者の周術期循環管理では,血管拡張薬で肺循環に特異的なものはないので,体血圧を維持するために昇圧薬を併用する頻度が高くなる.麻酔薬との相互作用も考慮しなければならない.右心不全の回避のため,前負荷の適正化,洞調律の維持が重要で,手術の侵襲度に応じたモニタを選択する必要がある.ドブタミンやホスホジエステラーゼ3阻害薬が第一選択となるが,低血圧を伴う場合はドパミンやノルアドレナリン,バソプレシンが適応になる.新生児遷延性肺高血圧症や心臓手術後のPHには肺血管に選択性の高い一酸化窒素吸入療法が適応となる.ハイリスク症例では肺高血圧症センターなどでの集学的チームアプローチが必要...
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Published in | 日本臨床麻酔学会誌 Vol. 40; no. 5; pp. 520 - 526 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床麻酔学会
15.09.2020
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Subjects | |
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ISSN | 0285-4945 1349-9149 |
DOI | 10.2199/jjsca.40.520 |
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Summary: | 肺高血圧症(PH)を伴う患者の周術期循環管理では,血管拡張薬で肺循環に特異的なものはないので,体血圧を維持するために昇圧薬を併用する頻度が高くなる.麻酔薬との相互作用も考慮しなければならない.右心不全の回避のため,前負荷の適正化,洞調律の維持が重要で,手術の侵襲度に応じたモニタを選択する必要がある.ドブタミンやホスホジエステラーゼ3阻害薬が第一選択となるが,低血圧を伴う場合はドパミンやノルアドレナリン,バソプレシンが適応になる.新生児遷延性肺高血圧症や心臓手術後のPHには肺血管に選択性の高い一酸化窒素吸入療法が適応となる.ハイリスク症例では肺高血圧症センターなどでの集学的チームアプローチが必要である. |
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ISSN: | 0285-4945 1349-9149 |
DOI: | 10.2199/jjsca.40.520 |