WS1-3 IL-6阻害薬の実績と今後の課題

  IL-6阻害薬であるトシリズマブ(TCZ)の関節リウマチ(RA)治療薬として歴史は,我が国での承認の2008年に始まり既に8年となる.現時点でTCZは唯一のIL-6阻害剤である.特徴としてTNF阻害薬無効例に効果が期待できること,単独投与でMTXにまさる有効性が証明され,MTX併用ではさらに有効であるがMTX使用不可症例にも投与できること,RA関連アミロイド―シスの治療に使用できること,若年性特発性関節炎にも有効で使用できることなどがあげられる.当施設ではRAでの貧血も改善する効果を認めている.以上の特徴はIL-6阻害に由来するものと考えられ,TCZの成功にならい複数の抗IL-6/抗IL-...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 39; no. 4; p. 347a
Main Author 田中, 真生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2016
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ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.39.347a

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Summary:  IL-6阻害薬であるトシリズマブ(TCZ)の関節リウマチ(RA)治療薬として歴史は,我が国での承認の2008年に始まり既に8年となる.現時点でTCZは唯一のIL-6阻害剤である.特徴としてTNF阻害薬無効例に効果が期待できること,単独投与でMTXにまさる有効性が証明され,MTX併用ではさらに有効であるがMTX使用不可症例にも投与できること,RA関連アミロイド―シスの治療に使用できること,若年性特発性関節炎にも有効で使用できることなどがあげられる.当施設ではRAでの貧血も改善する効果を認めている.以上の特徴はIL-6阻害に由来するものと考えられ,TCZの成功にならい複数の抗IL-6/抗IL-6受容体(IL-6R)抗体製剤が開発されている.すなわち低免疫原性のヒト抗IL-6R抗体(Sarilumab),ヒト抗IL-6抗体(Sirukumab),より高い親和力と半減期の長い抗IL-6抗体(Clazakizumab, MEDI5117),重鎖のみの抗IL-6Rナノボディ(ALX-0061)などが臨床試験中である.これらが実臨床に登場すれば,IL-6阻害薬もTNF阻害薬と同様に選択肢が増える.そしてSTAT3に至るIL-6シグナル伝達を阻害するJAK1阻害薬も含め,選択基準の考案が必要となるであろう.さらにMTX非併用でMTX関連リンパ増殖性疾患既往者での使用の是非も検討が望まれる.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.39.347a