P3-005 MPO/HLA class II複合体は顕微鏡的多発血管炎における自己抗体の標的である

  【目的】特定のHLA class IIアリルは顕微鏡的多発血管炎(MPA)などのANCA関連血管炎と関連する.近年,我々はミスフォールド蛋白とHLA class IIの複合体が,関節リウマチの自己抗体や抗リン脂質抗体の標的であることを発見した.今回は,ミエロペルオキシダーゼ(MPO)が疾患感受性HLA-DR分子によって提示され,MPO-ANCAの標的となるかを検討した.【方法】MPOとHLA-DRのcDNAを含む発現プラスミドをHEK293T細胞に導入し,フローサイトメトリーや免疫沈降法を用いて解析した.またMPO蛋白を用いた競合阻害実験によってMPO-ANCAのエピトープを検討した.さら...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 38; no. 4; p. 326a
Main Authors 大村, 浩一郎, 渥美, 達也, 平安, 恒幸, 金, 暉, 日和, 良介, 齋藤, 史路, 末永, 忠広, 寺尾, 知可史, 荒瀬, 尚, 香山, 雅子, 荒瀬, 規子, 岩谷, 博次, 三森, 経世
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2015
Online AccessGet full text
ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.38.326a

Cover

More Information
Summary:  【目的】特定のHLA class IIアリルは顕微鏡的多発血管炎(MPA)などのANCA関連血管炎と関連する.近年,我々はミスフォールド蛋白とHLA class IIの複合体が,関節リウマチの自己抗体や抗リン脂質抗体の標的であることを発見した.今回は,ミエロペルオキシダーゼ(MPO)が疾患感受性HLA-DR分子によって提示され,MPO-ANCAの標的となるかを検討した.【方法】MPOとHLA-DRのcDNAを含む発現プラスミドをHEK293T細胞に導入し,フローサイトメトリーや免疫沈降法を用いて解析した.またMPO蛋白を用いた競合阻害実験によってMPO-ANCAのエピトープを検討した.さらにヒト好中球におけるMPOとHLA-DRとの結合を免疫沈降法で解析した.【結果】HLA-DRを共に導入すると細胞表面のMPO発現が増加し,MPOはHLA-DRと共沈降した.種々のHLA-DRアリルのMPA感受性に対するオッズ比は,MPO/HLA-DR複合体に対する自己抗体の抗体価と相関した.競合阻害実験によって,HLA-DRと結合したMPOの自己抗体反応性エピトープはMPO単独とは異なることが示唆された.健常人およびMPA患者の好中球にMPO/HLA-DR複合体が検出された.【結論】MPOと特定のHLA class II分子の複合体がMPO-ANCAの標的であることが示唆された.特定のHLA-DRがMPAの疾患感受性と相関する理由を説明しうる結果と考えられる.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.38.326a