P1-11 脳神経障害を伴うシクロホスファミド再燃多発血管炎性肉芽腫症に対してリツキシマブが有効であった一例
シクロホスファミド大量静注療法(IVCY)で再燃した脳神経障害を伴う多発血管炎性肉芽腫症(GPA)にリツキシマブ(RTX)が有効であった一例を経験した.症例は37歳男性,1年前から難治性中耳炎を繰り返し,嚥下困難,頭痛,嗄声,呂律障害,鶏歩,1か月で10 kgの体重減少,PR3-ANCA 19.8 IU/mlで当院紹介.右VIII~XII麻痺を認め,頭部MRIで上顎洞炎,舌下神経管下方の右内頸動静脈周囲に境界不明瞭は造影効果を伴う腫瘤性陰影を,胸部CTで左上葉に径2 cmの結節影を認めた.鼻粘膜・中耳・肺結節の病理所見は炎症細胞浸潤のみで悪性や血管炎所見は認めなかった.厚労省基準でprob...
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Published in | 日本臨床免疫学会会誌 Vol. 40; no. 4; p. 300c |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床免疫学会
2017
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ISSN | 0911-4300 1349-7413 |
DOI | 10.2177/jsci.40.300c |
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Summary: | シクロホスファミド大量静注療法(IVCY)で再燃した脳神経障害を伴う多発血管炎性肉芽腫症(GPA)にリツキシマブ(RTX)が有効であった一例を経験した.症例は37歳男性,1年前から難治性中耳炎を繰り返し,嚥下困難,頭痛,嗄声,呂律障害,鶏歩,1か月で10 kgの体重減少,PR3-ANCA 19.8 IU/mlで当院紹介.右VIII~XII麻痺を認め,頭部MRIで上顎洞炎,舌下神経管下方の右内頸動静脈周囲に境界不明瞭は造影効果を伴う腫瘤性陰影を,胸部CTで左上葉に径2 cmの結節影を認めた.鼻粘膜・中耳・肺結節の病理所見は炎症細胞浸潤のみで悪性や血管炎所見は認めなかった.厚労省基準でprobable,WattsでGPAと分類され,GPAと診断,大量ステロイド療法とIVCYを施行した.3か月後,頭痛と左難聴を自覚し再入院.GPA再燃に対しRTXによる再寛解導入療法を行い,その後1年寛解を維持した.肥厚性硬膜炎がなく脳神経障害を伴うGPAは非常に稀で,治療が明記された症例報告は1998年から2014年までに9例であった.うち7例はCYで寛解導入を行っており,CYで再燃しRTXが有効なのは1例のみだった.脳神経障害を伴うGPAの再燃例ではRTXが有効な可能性が考えられた. |
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ISSN: | 0911-4300 1349-7413 |
DOI: | 10.2177/jsci.40.300c |