P3-003  血管炎症候群患者末梢血トランスクリプトのパスウエー解析

【目的】血管炎症候群の病態形成には自己抗体,炎症性細胞とそれらに発現する接着分子,細胞障害顆粒が密接に関与しており,鍵となる分子経路が非常に複雑である.【方法】血管炎症候群23例,RA20例,健常人21例の計64例を対象とし,末梢血よりtotal RNAを抽出し,Whole Human Genome Microarray 8x60k(Agilent ver2.0)チップを用いて網羅的に遺伝子発現データを取得,各種バイオインフォマティクス解析を行った.【結果】3群間での発現変動遺伝子として,健常人群と比較した血管炎群で最も多い912プローブ(P<0.05)が抽出された.次に血管炎全体および血管炎...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 37; no. 4; p. 342a
Main Authors 倉沢, 隆彦, 吉本, 桂子, 鈴木, 勝也, 竹内, 勤
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2014
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ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.37.342a

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Summary:【目的】血管炎症候群の病態形成には自己抗体,炎症性細胞とそれらに発現する接着分子,細胞障害顆粒が密接に関与しており,鍵となる分子経路が非常に複雑である.【方法】血管炎症候群23例,RA20例,健常人21例の計64例を対象とし,末梢血よりtotal RNAを抽出し,Whole Human Genome Microarray 8x60k(Agilent ver2.0)チップを用いて網羅的に遺伝子発現データを取得,各種バイオインフォマティクス解析を行った.【結果】3群間での発現変動遺伝子として,健常人群と比較した血管炎群で最も多い912プローブ(P<0.05)が抽出された.次に血管炎全体および血管炎亜群と健常人群を比較して発現亢進および低下の遺伝子を抽出したところ,ANCA関連血管炎群で最も遺伝子変化が著明であった.さらに同群で亢進していた遺伝子をGenMAPP-MAPP FinderとGSEAの2種類でパスウエー解析したところ,IL-6,IL-3,インテグリン,インスリン,MAPキナーゼの5経路が共通して亢進していた.特にIL-6シグナル経路では,JAK-STAT経路,MAPキナーゼ経路に関連する遺伝子の発現が亢進していた.【結論】ANCA関連血管炎群ではIL-6シグナル経路が強く亢進していることが判明した.全血での解析という制約があるものの網羅的に血管炎症候群に特徴的な末梢血遺伝子発現のプロファイルの一端を明らかにすることができた.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.37.342a