時間生物学的にみた抗うつ薬の作用:健常者におけるtrazodoneとimipramineの脳波を用いた概日リズムにおよぼす影響
うつ病は抑うつ気分, 意欲の低下, 不安, 早朝覚醒を主とする睡眠障害(まれに過眠), 食欲の低下(まれに過食)を呈し, 悪化すると希死念慮や自殺企図を生ずる. 精神症状は午前中で悪いという1日のなかでの日内変動が認められることが多い. また, 夜間の睡眠障害を呈する患者においては日中の眠気は認められず, 過眠患者では日中の過眠症状を呈しながら夜間も過眠状態である. 時間生物学の分野からみるとうつ病は早朝覚醒を主とする睡眠障害や過眠や日内変動などから概日リズム障害として捉えることができる. うつ病の治療は一般的には抗うつ薬を用いる. その際, 抗うつ薬による治療で脳波の変化が認めらることが知ら...
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Published in | Journal of Nippon Medical School Vol. 69; no. 3; pp. 262 - 267 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本医科大学医学会
2002
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Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-4676 1347-3409 |
DOI | 10.1272/jnms.69.262 |
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Summary: | うつ病は抑うつ気分, 意欲の低下, 不安, 早朝覚醒を主とする睡眠障害(まれに過眠), 食欲の低下(まれに過食)を呈し, 悪化すると希死念慮や自殺企図を生ずる. 精神症状は午前中で悪いという1日のなかでの日内変動が認められることが多い. また, 夜間の睡眠障害を呈する患者においては日中の眠気は認められず, 過眠患者では日中の過眠症状を呈しながら夜間も過眠状態である. 時間生物学の分野からみるとうつ病は早朝覚醒を主とする睡眠障害や過眠や日内変動などから概日リズム障害として捉えることができる. うつ病の治療は一般的には抗うつ薬を用いる. その際, 抗うつ薬による治療で脳波の変化が認めらることが知られている. 抗うつ薬による脳波の影響は薬物が病態に対して作用し, その結果二次的に脳波の変化としてみられる場合と薬物が直接に脳に作用して脳波が変化することとが考えられる. 後者の研究には患者を用いずに健常被験者を対象として向精神薬を投与し脳波の変化を研究する方法が適している. 患投与し脳波の変化を研究する方法が適している. 患者および健常人での抗うつ薬の終夜睡眠に対する影響の報告はあるが, うつ病患者および健常人での日中のリズムを含めた24時間の脳波の概日リズムに対しての影響の報告はみられない. 我々は以前, trazodone(TRA)とimipramine(IMP)を健常人に投与する方法で夜間のpolysomnography(PSG)の研究をおこない以下の結果を得た. |
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ISSN: | 1345-4676 1347-3409 |
DOI: | 10.1272/jnms.69.262 |