P7-020 メトトレキサートにて関節リウマチ治療中に悪性リンパ腫を発症した症例の検討

  関節リウマチ(RA)治療においてメトトレキサート(MTX)はRAと診断されたらまず開始すべきアンカードラッグである.一方,リンパ球の過剰活性化が病態の根底にあるRAでは,悪性リンパ腫(ML)の発症頻度はRA疾患活動性に応じて健常人と比較し4-25倍と高く,しばしばMTX投与中にML発症が認められるが詳細は解明されていない.今回当科および関連医療機関で診療する概数6000名のRAでMTX投与中に発症したML46名に関して検討を行った.平均66.9±11.0歳,男/女 9/37例,発症時RA罹病期間は151.6±115ヶ月,MTXの投与量は8.2±3.3mg/週,投与期間は84.3±109ヶ月...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 38; no. 4; p. 357b
Main Authors 澤向, 範文, 平田, 信太郎, 岩田, 慈, 中山田, 真吾, 田中, 良哉, 宮川, 一平, 久保, 智史, 花見, 健太郎, 齋藤, 和義, 中野, 和久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2015
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ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.38.357b

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Summary:  関節リウマチ(RA)治療においてメトトレキサート(MTX)はRAと診断されたらまず開始すべきアンカードラッグである.一方,リンパ球の過剰活性化が病態の根底にあるRAでは,悪性リンパ腫(ML)の発症頻度はRA疾患活動性に応じて健常人と比較し4-25倍と高く,しばしばMTX投与中にML発症が認められるが詳細は解明されていない.今回当科および関連医療機関で診療する概数6000名のRAでMTX投与中に発症したML46名に関して検討を行った.平均66.9±11.0歳,男/女 9/37例,発症時RA罹病期間は151.6±115ヶ月,MTXの投与量は8.2±3.3mg/週,投与期間は84.3±109ヶ月,ステロイドの併用量は,1.0±2.3.ML発症時は,DAS28ESR 4.24±1.5,CRP 4.4±5.3と中等度以上のRA疾患活動性を認め,治験薬を含む延べ生物学的製剤併用数は27例で(TNF阻害剤25例,その他2例),LDH 342±238,リンパ球数1484±1105,可溶性IL-2R 2013±2383,病理組織ではびまん性大細胞型B細胞リンパ腫が約2/3を占めた.投与前の発症予知は困難で,LDH,IL-2Rなどの臨床検査値も診断における有用性は限定的と考えられた.既存の報告にも示されるように,MTX投与中のRAに発症したMLでは,RAの疾患活動性の高い状況で発症することが多く,MTX中止により改善した9例を除けば,医原性と断定できるものでは無いと考えられた.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.38.357b