P2-52 難治性感覚神経障害と自律神経障害を呈した混合性結合組織病の一例

  【背景】混合性結合組織病(Mixed Connective Tissue Disease; MCTD)の約25%に神経症状を合併すると報告されている.末梢神経障害合併例の報告は散見されるものの,その中で自律神経症状を呈した症例報告はまれであり,治療法は確立していない.【症例】63歳女性.【経過】1年前から関節炎とレイノー現象が出現.抗U1RNP抗体陽性と筋炎様所見を認めたためMCTDと診断した.その後四肢末端の異常感覚が出現した.痛覚過敏と振動覚の低下がみられ,神経伝導速度検査で軸索障害優位の多発神経障害が指摘された.腓腹神経生検を施行し,血管内腔閉塞と神経軸索変性が認められた.発症4か月...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 39; no. 4; p. 429b
Main Authors 蔵本, 伸生, 曽我部, 愛由子, 夜久, 愛, 村上, 孝作, 中嶋, 蘭, 橋本, 求, 井村, 嘉孝, 吉藤, 元, 田中, 真生, 大村, 浩一郎, 楠, 進, 樋口, 理, 中根, 俊成, 岡, 伸幸, 三森, 経世
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2016
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Summary:  【背景】混合性結合組織病(Mixed Connective Tissue Disease; MCTD)の約25%に神経症状を合併すると報告されている.末梢神経障害合併例の報告は散見されるものの,その中で自律神経症状を呈した症例報告はまれであり,治療法は確立していない.【症例】63歳女性.【経過】1年前から関節炎とレイノー現象が出現.抗U1RNP抗体陽性と筋炎様所見を認めたためMCTDと診断した.その後四肢末端の異常感覚が出現した.痛覚過敏と振動覚の低下がみられ,神経伝導速度検査で軸索障害優位の多発神経障害が指摘された.腓腹神経生検を施行し,血管内腔閉塞と神経軸索変性が認められた.発症4か月後よりステロイド大量投与を開始,漸減したが,その後異常感覚の悪化とともに起立性低血圧,排尿障害,便失禁,対光反射消失などの自律神経症状が出現した.ステロイドパルス,シクロホスファミド大量静注,免疫グロブリン大量療法はいずれも効果不十分であったため,血漿交換療法を行ったところ自律神経症状は著明に改善した.【考察】本症例の末梢神経障害は血管炎に伴う神経軸索障害と考えられた.MCTDの末梢神経障害の治療は確立されていないが,これまでにステロイドやアザチオプリンの有効性が報告されている.本症例より,血漿交換療法が難治性の自己免疫性末梢神経障害に有用である可能性が示唆された.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.39.429b