P2-12 免疫性血小板減少症における抗トロンボポエチン抗体の解析
【背景・目的】免疫性血小板減少症(ITP)の病態形成の機序は,抗血小板抗体による血小板破壊と骨髄巨核球の成熟障害が考えられている.本研究では巨核球の成熟に必須なトロンボポエチン(TPO)に対する自己抗体(抗TPO抗体)が巨核球の成熟障害に関与している可能性を想定し,ITP患者における抗TPO抗体の検出および抗体の機能を解析した.【方法・結果】抗TPO抗体はリコンビナントヒトTPO(rhTPO)を固相化したELISAで測定し,ITP患者26例中4例(15.4%)で認められた.抗TPO抗体ELISAの特異性は,抗体陽性例と高濃度rhTPOを前もって反応させる競合阻害実験で確認した.抗TPO抗体が血...
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Published in | 日本臨床免疫学会会誌 Vol. 36; no. 5; p. 378b |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床免疫学会
2013
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0911-4300 1349-7413 |
DOI | 10.2177/jsci.36.378b |
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Summary: | 【背景・目的】免疫性血小板減少症(ITP)の病態形成の機序は,抗血小板抗体による血小板破壊と骨髄巨核球の成熟障害が考えられている.本研究では巨核球の成熟に必須なトロンボポエチン(TPO)に対する自己抗体(抗TPO抗体)が巨核球の成熟障害に関与している可能性を想定し,ITP患者における抗TPO抗体の検出および抗体の機能を解析した.【方法・結果】抗TPO抗体はリコンビナントヒトTPO(rhTPO)を固相化したELISAで測定し,ITP患者26例中4例(15.4%)で認められた.抗TPO抗体ELISAの特異性は,抗体陽性例と高濃度rhTPOを前もって反応させる競合阻害実験で確認した.抗TPO抗体が血漿TPO濃度に影響を及ぼす可能性を検討するため,ELISAでTPO濃度を測定した.TPO濃度は抗TPO抗体陰性例と比べ抗体陽性例では低値であった.また,抗TPO抗体が巨核球の増殖に影響を及ぼす可能性を検討するため,抗TPO抗体陽性または陰性血漿から精製したIgGとTPO依存性に増殖する巨核球細胞株UT-7/TPOおよびrhTPOを加え培養し,CCK-8で細胞増殖を測定した.その結果,抗体陽性IgGを加えたUT-7/TPO細胞では増殖が抑制された.【結語】ITP患者から抗TPO抗体が検出され,その抗体は血漿TPO濃度および巨核球の増殖に影響を及ぼし,ITPの病態形成に関与している可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0911-4300 1349-7413 |
DOI: | 10.2177/jsci.36.378b |