P8-017 横静脈洞血栓症を合併した全身性エリテマトーデス2症例の検討
【はじめに】脳静脈洞血栓症(CVT)は先天的凝固蛋白欠乏,悪性腫瘍,抗リン脂質抗体症候群(APS)などを危険因子として発症する疾患である.稀ではあるが全身性エリテマトーデス(SLE)との合併例も報告されている.【症例1】42歳女性.SLE,APSに対してプレドニゾロン(PSL)3 mg,タクロリムス(TAC)1.5mg,ダビガトラン150mgにて加療されていた.受診1ヶ月前から頭痛,めまい,左下肢しびれが出現し,頭部MRIにてCVTと診断された.ヘパリンとワーファリンによる抗凝固療法を行い症状の改善を認めた.【症例2】27歳女性.20歳時にSLEを発症,PSL 5 mg,TAC 1.5mg...
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Published in | 日本臨床免疫学会会誌 Vol. 38; no. 4; p. 377a |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床免疫学会
2015
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0911-4300 1349-7413 |
DOI | 10.2177/jsci.38.377a |
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Summary: | 【はじめに】脳静脈洞血栓症(CVT)は先天的凝固蛋白欠乏,悪性腫瘍,抗リン脂質抗体症候群(APS)などを危険因子として発症する疾患である.稀ではあるが全身性エリテマトーデス(SLE)との合併例も報告されている.【症例1】42歳女性.SLE,APSに対してプレドニゾロン(PSL)3 mg,タクロリムス(TAC)1.5mg,ダビガトラン150mgにて加療されていた.受診1ヶ月前から頭痛,めまい,左下肢しびれが出現し,頭部MRIにてCVTと診断された.ヘパリンとワーファリンによる抗凝固療法を行い症状の改善を認めた.【症例2】27歳女性.20歳時にSLEを発症,PSL 5 mg,TAC 1.5mgにて加療継続していた.受診1ヶ月前より頭痛,全身性浮腫が出現し精査目的に入院.高疾患活動性のSLEと診断しステロイドパルス療法を開始したが,その後に急激に意識障害が出現.左側頭後頭部に広範な脳出血を認め,頭部造影CTにてCVTと診断した.緊急開頭減圧術を施行するも出血病変は拡大し死亡した.【考察】SLE患者にCVTを認める頻度は1%未満と考えられているが,高疾患活動性期に発症する傾向がある.今回の2症例はともに高疾患活動性であり,さらにAPSの合併,低蛋白血症,凝固蛋白欠乏などの危険因子も併存し発症の原因となったと推察される.CVTは死亡例も見られ,SLEにおける中枢病変の一つとして早期診断が重要である. |
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ISSN: | 0911-4300 1349-7413 |
DOI: | 10.2177/jsci.38.377a |