経カテーテル大動脈弁留置術─術者の視点から

経カテーテル大動脈弁留置術(transcatheter aortic valve implantation:TAVI)が,2013年6月に本邦で承認されて,約2年が経過した.TAVIは,高齢や合併症などの問題から標準的な治療である大動脈弁置換術(surgical aortic valve replacement:SAVR)を施行できない,もしくは手術リスクが高い有症候症例に対して適応となっており,本邦での総実施数もすでに1,000例を超えた.しかし,一方で,TAVIに関するエビデンスの多くは欧米での研究で得られたものであり,日本におけるエビデンスは少ない.一般に,日本人の体格は欧米人よりも小柄...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 35; no. 5; pp. 616 - 621
Main Authors 山中, 太, 豊田, 浩作, 小出, 康弘, 田中, 正史, 野村, 岳志, 齋藤, 滋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 2015
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Summary:経カテーテル大動脈弁留置術(transcatheter aortic valve implantation:TAVI)が,2013年6月に本邦で承認されて,約2年が経過した.TAVIは,高齢や合併症などの問題から標準的な治療である大動脈弁置換術(surgical aortic valve replacement:SAVR)を施行できない,もしくは手術リスクが高い有症候症例に対して適応となっており,本邦での総実施数もすでに1,000例を超えた.しかし,一方で,TAVIに関するエビデンスの多くは欧米での研究で得られたものであり,日本におけるエビデンスは少ない.一般に,日本人の体格は欧米人よりも小柄で,それだけ弁輪径も小さく,デバイスを留置する際に起こる大動脈弁輪破裂のリスクが相対的に高くなることなどが報告されており,日本人特有のエビデンスの蓄積が必要である.また,呼吸器疾患,慢性腎臓病,整形外科疾患等の随伴疾患が併存することが多く,複数の診療科の連携にとどまらず,多職種による包括的な診療が必要となる.そこで,われわれの施設での知見をもとに,日本人の重症大動脈弁狭窄症例を対象にした,TAVIへの取り組み,初期成績,合併症,今後の課題について考える.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.35.616