肝外門脈閉塞で形成されたCavernous transformationにより総胆管狭窄をきたした1例

症例は66歳,女性.近医でC型肝炎の経過観察中に腹部USで胆嚢結石,胆嚢壁の不整および総肝管と肝内胆管の拡張を指摘された.41歳時に食道離断術と脾摘出術を施行されていた.血液検査では軽度の血性ビリルビン値の上昇を認めた.US,CT,MRI等の画像検査で胆嚢結石,肝外門脈の閉塞,Cavernous transformation(以下CVT)を認めた.またMRCP,ERCで総胆管の圧排性狭窄と総肝管と肝内胆管の拡張を認めた.総胆管狭窄の原因として悪性腫瘍は否定的であった.CVTによる総胆管狭窄と診断しEBD(endoscopic biliary drainage)-tubeを留置し血性ビリルビン値...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in胆道 Vol. 34; no. 1; pp. 103 - 108
Main Authors 木村, 俊久, 飯田, 敦, 五井, 孝憲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 31.03.2020
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は66歳,女性.近医でC型肝炎の経過観察中に腹部USで胆嚢結石,胆嚢壁の不整および総肝管と肝内胆管の拡張を指摘された.41歳時に食道離断術と脾摘出術を施行されていた.血液検査では軽度の血性ビリルビン値の上昇を認めた.US,CT,MRI等の画像検査で胆嚢結石,肝外門脈の閉塞,Cavernous transformation(以下CVT)を認めた.またMRCP,ERCで総胆管の圧排性狭窄と総肝管と肝内胆管の拡張を認めた.総胆管狭窄の原因として悪性腫瘍は否定的であった.CVTによる総胆管狭窄と診断しEBD(endoscopic biliary drainage)-tubeを留置し血性ビリルビン値は正常化した.EBD-tubeは1年後に脱落したが,以後も肝外胆管の狭窄所見の増悪を認めず,全身状態は良好で診断後6年を経た現在も経過観察中である.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.34.103