P10-006  強皮症腎を呈したRNAポリメラーゼ3抗体陽性強皮症の1例

【症例】77歳男性【主訴】下腿浮腫,皮膚硬化【現病歴】2013年1月に下腿浮腫にて近医受診し心嚢液貯留を指摘.心嚢液穿刺にて精査も原因不明,1年間で4回の心嚢液穿刺施行される.同年6月より皮膚硬化が出現し,皮膚科にて強皮症と診断,11月に精査加療目的に当科入院となる.【入院後経過】入院時のmodified Rodan total skin scoreは43点と高度の皮膚硬化認めた.心嚢液穿刺による精査では,悪性腫瘍や感染症は否定的であり,血液検査と心嚢液精査にてRNAポリメラーゼ3抗体≧150(<28.0)と強陽性のため,全身性強皮症による心嚢液貯留と診断した.プレドニゾロン20mg内服にて心...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 37; no. 4; p. 378b
Main Authors 荻田, 千愛, 吉川, 卓宏, 東, 直人, 大杉, 敬子, 佐野, 統, 関口, 昌弘, 日野, 拓耶, 古川, 哲也, 横山, 雄一, 安部, 武生, 西岡, 亜紀, 松井, 聖, 北野, 将康, 角田, 慎一郎, 齋藤, 篤史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2014
Online AccessGet full text
ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.37.378b

Cover

More Information
Summary:【症例】77歳男性【主訴】下腿浮腫,皮膚硬化【現病歴】2013年1月に下腿浮腫にて近医受診し心嚢液貯留を指摘.心嚢液穿刺にて精査も原因不明,1年間で4回の心嚢液穿刺施行される.同年6月より皮膚硬化が出現し,皮膚科にて強皮症と診断,11月に精査加療目的に当科入院となる.【入院後経過】入院時のmodified Rodan total skin scoreは43点と高度の皮膚硬化認めた.心嚢液穿刺による精査では,悪性腫瘍や感染症は否定的であり,血液検査と心嚢液精査にてRNAポリメラーゼ3抗体≧150(<28.0)と強陽性のため,全身性強皮症による心嚢液貯留と診断した.プレドニゾロン20mg内服にて心嚢液は減少したが,加療開始後より血清クレアチニン値の上昇と収縮期血圧160mmHgと上昇したため,強皮症腎発症の可能性が考えた.腎生検では動脈の内膜肥厚とそれによる内腔狭窄を認め,強皮症腎として矛盾しない結果であった.ACE阻害薬を投与したが,腎機能低下が続いたため,腎血管拡張を目的にボセンタンを開始とした.ボセンタン開始後,血清クレアチニン値は上昇を認めていない.【考察】本症例は強皮症腎発症の危険因子である抗RNAポリメラーゼ3抗体陽性,心嚢液貯留,diffuse cutaneous SSc等を認めた症例であった.強皮症腎の治療として,ACE阻害薬に加え,ボセンタン投与が有効である可能性が示唆された.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.37.378b