P1-41 関節リウマチ患者のCD4陽性T細胞亜分画の遺伝子発現解析とアバタセプトによる治療の影響
【目的】関節リウマチ(RA)において,へルパーT細胞,CD25制御性T細胞を含むCD4+T細胞は多様な機能を担う.我々は,CD4+T細胞亜分画の遺伝子発現解析を行い,RA患者と健常人との比較,また同一RA患者のアバタセプト(ABT)投与前後の比較解析を行った.【方法】健常人9名,RA患者12名の末梢血CD4+T細胞7亜分画(ナイーブT細胞・濾胞性ヘルパーT細胞・Th1・Th2・Th17・Th17.1・CD25制御性T細胞)をFACSで分取し,RNA-Seq解析を行った.RA患者のうち3名では,ABT投与前と投与6か月後のサンプルを解析した.【結果】外れ値を除いた142サンプルのPCA解析で...
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Published in | 日本臨床免疫学会会誌 Vol. 39; no. 4; p. 395a |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床免疫学会
2016
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Summary: | 【目的】関節リウマチ(RA)において,へルパーT細胞,CD25制御性T細胞を含むCD4+T細胞は多様な機能を担う.我々は,CD4+T細胞亜分画の遺伝子発現解析を行い,RA患者と健常人との比較,また同一RA患者のアバタセプト(ABT)投与前後の比較解析を行った.【方法】健常人9名,RA患者12名の末梢血CD4+T細胞7亜分画(ナイーブT細胞・濾胞性ヘルパーT細胞・Th1・Th2・Th17・Th17.1・CD25制御性T細胞)をFACSで分取し,RNA-Seq解析を行った.RA患者のうち3名では,ABT投与前と投与6か月後のサンプルを解析した.【結果】外れ値を除いた142サンプルのPCA解析では,RAと健常人は明らかに分けられ,またABT投与後群はPCA1上で健常人に近い位置に集団を形成した.健常人を対照としたRAのCD4+亜分画の発現変動遺伝子(DEG)は,亜分画間の差は明確ではなかった.しかし,ABT投与前後の比較を全サブセットをまとめて行うと,著しい発現変動を認めた.WGCNAによって発現傾向が類似した遺伝子集団を分画したところ,ABT投与とDAS28-CRPと強く相関する遺伝子群が同定された.本遺伝子群の上位10遺伝子にはJAK3,ZAP70が含まれており,ABT投与はTCRシグナル下流遺伝子を強く抑制することが示唆された.【結論】RAと健常人の末梢血CD4+T細胞は明確な遺伝子発現の差を認めた.ABTによる治療は各サブセットすべてに強い遺伝子発現の変動を与え,特にTCRシグナル下流の遺伝子が著明に抑制されていた. |
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ISSN: | 0911-4300 1349-7413 |
DOI: | 10.2177/jsci.39.395a |