P1-27 多施設共同研究によるA20ハプロ不全症の国内症例の病態解析
【緒言】ベーチェット病(BD)類似の早期発症型自己炎症性疾患を引き起こす常染色体優性遺伝疾患の病因として,TNFAIP3遺伝子のハプロ不全が報告された.TNFAIP3遺伝子がコードする分子A20は,TNF-αシグナル伝達経路上で,その機能を抑制的に制御している.Primary immunodeficiency database in Japan(PIDJ),及び自己炎症性疾患研究班と連携して情報を収集したところ,国内で9家系30症例のA20ハプロ不全症(HA20)症例が判明した.HA20の国内症例について臨床像を調査したので報告する.【結果】9家系で同定された変異はそれぞれの家系で固有のもので...
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Published in | 日本臨床免疫学会会誌 Vol. 40; no. 4; p. 304c |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床免疫学会
2017
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Summary: | 【緒言】ベーチェット病(BD)類似の早期発症型自己炎症性疾患を引き起こす常染色体優性遺伝疾患の病因として,TNFAIP3遺伝子のハプロ不全が報告された.TNFAIP3遺伝子がコードする分子A20は,TNF-αシグナル伝達経路上で,その機能を抑制的に制御している.Primary immunodeficiency database in Japan(PIDJ),及び自己炎症性疾患研究班と連携して情報を収集したところ,国内で9家系30症例のA20ハプロ不全症(HA20)症例が判明した.HA20の国内症例について臨床像を調査したので報告する.【結果】9家系で同定された変異はそれぞれの家系で固有のものであり,in vitro機能解析で全て病的変異であることが確認された.また,既報告文献と同様,国内症例においてもTNF-α,IL-1β等の前炎症性サイトカイン産生の増加を認め,Th17細胞への分化過剰も認められたが,Th9への分化過剰は認められなかった.臨床像として,BDの診断基準を満たさない症例が半数程度存在しており,反復性口内炎のみ認める症例等,部分的にBD様症状を認める症例が多く存在していた.またBD様症状以外の症状として自己免疫疾患(自己免疫性肝炎,SLE,橋本病,Graves病,乾癬性関節炎)やネフローゼ症候群,IgA血管炎の併発例を認めている.【結論】HA20患者では自己免疫疾患の発症例が多く認められた. |
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ISSN: | 0911-4300 1349-7413 |
DOI: | 10.2177/jsci.40.304c |