「周術期管理チームの理想と現実─Best of the Teamを目指して─」によせて
チーム医療の必要性が叫ばれて久しいが, まだまだ課題は多い. 今回パネルディスカッションとして「周術期管理チームの理想と現実 - Best of the Teamを目指して -」というタイトルで5名の多職種の方に参加していただき討論を行った. 発表では日本体外循環技術医学会の吉田靖理事長から体外循環の安全性と現状での各施設への普及などの問題点を明示していただいた. また韓国のYounsook Kwon先生には特に教育面から見たチーム医療の問題点をまとめていただいた. 論文を寄稿された3名の先生方の意見には拝聴に値する事案が多い. 日本麻酔科学会の周術期管理チーム認定制度に長年かかわっており,...
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Published in | 日本臨床麻酔学会誌 Vol. 36; no. 2; p. 186 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床麻酔学会
2016
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0285-4945 1349-9149 |
DOI | 10.2199/jjsca.36.186 |
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Summary: | チーム医療の必要性が叫ばれて久しいが, まだまだ課題は多い. 今回パネルディスカッションとして「周術期管理チームの理想と現実 - Best of the Teamを目指して -」というタイトルで5名の多職種の方に参加していただき討論を行った. 発表では日本体外循環技術医学会の吉田靖理事長から体外循環の安全性と現状での各施設への普及などの問題点を明示していただいた. また韓国のYounsook Kwon先生には特に教育面から見たチーム医療の問題点をまとめていただいた. 論文を寄稿された3名の先生方の意見には拝聴に値する事案が多い. 日本麻酔科学会の周術期管理チーム認定制度に長年かかわっており, 日本看護協会でも活躍されていた滝麻衣先生からは, 麻酔看護師の議論から特定看護師に至る今までの経緯をまとめていただいた. 日本の現状に合った医師と看護師の連携は重要で, 麻酔管理を担う看護師・コメディカルの組織化が必要ということを強調されている. 中島麻代先生からは, 術前や術中の麻酔科医との連携の点から, 日本の医療システムに見合った麻酔科看護師の育成が必要という提言を受けている. 小西寿子先生は薬剤師であり, 東京女子医科大学において手術室の麻薬管理や麻酔科医との連携システムを立ち上げていただいたが, 薬剤師が真のチームの一員になるためには, 手術の進行状況, 患者の合併症を含む状態把握などに関心を持ち, 麻酔科医, 看護師, 臨床工学士が求めていることを理解し, 積極的にコミュニケーションをとり, かかわることが必要であると述べている. 単なる薬剤管理にとどまらず医師に提言でき薬剤治療の中心的な存在である欧米型のClinical pharmacyの確立はBest of the Teamにはなくてはならないものである. 真のチーム医療には, お互いにコミュニュケーションを常時とっていることが最も重要であると筆者は考えている. そのような意味で本論文を熟読していただければ新しいチーム医療の姿が見えてくると思う. |
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ISSN: | 0285-4945 1349-9149 |
DOI: | 10.2199/jjsca.36.186 |