P1-37 乳癌幹細胞および腫瘍組織におけるPD-L1の発現解析

  PD-L1は免疫チェックポイント分子PD-1のリガンドであり,主に抗原提示細胞や悪性黒色腫,肺がん等の様々な癌組織に発現している.その発現は,癌細胞の免疫逃避に関与していることが知られており,近年,抗PD-1抗体が免疫チェックポイント阻害薬として製剤化された.癌幹細胞は主要な治療標的であるが,その免疫逃避機序については不明の点が多い.私たちは乳癌幹細胞におけるPD-L1の発現とその制御機構について解析した.免疫組織染色及びフローサイトメーター解析の結果,MCF7およびMDA-MB-469乳癌細胞のSpheroid形成細胞でPD-L1の発現増強が認められた.この発現はAKT阻害剤によって抑制...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 39; no. 4; p. 393a
Main Authors 鳥越, 俊彦, 淺沼, 広子, 長谷川, 匡, 廣橋, 良彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2016
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ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.39.393a

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Summary:  PD-L1は免疫チェックポイント分子PD-1のリガンドであり,主に抗原提示細胞や悪性黒色腫,肺がん等の様々な癌組織に発現している.その発現は,癌細胞の免疫逃避に関与していることが知られており,近年,抗PD-1抗体が免疫チェックポイント阻害薬として製剤化された.癌幹細胞は主要な治療標的であるが,その免疫逃避機序については不明の点が多い.私たちは乳癌幹細胞におけるPD-L1の発現とその制御機構について解析した.免疫組織染色及びフローサイトメーター解析の結果,MCF7およびMDA-MB-469乳癌細胞のSpheroid形成細胞でPD-L1の発現増強が認められた.この発現はAKT阻害剤によって抑制されることから,PI3K/AKT pathwayの関与が示唆された.また,乳癌原発巣70症例およびリンパ節転移巣30症例に関して,PD-1, PD-L1の発現を解析した.その結果,PD-L1の発現は,原発巣よりもリンパ節転移巣において頻度が高いこと,PD-L1陽性転移巣周囲には,PD-1陽性T細胞の浸潤頻度が高いことが判明した.乳癌幹細胞の免疫逃避およびリンパ節転移にはPD-L1の発現が関与している可能性が示唆された.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.39.393a