Duchenne型筋ジストロフィー症の強度脊椎変形による反復性イレウスの1例

Duchenne型筋ジストロフィー症(DMD)の麻痺性イレウスは, しばしば経験される合併症のひとつである. しかし, 機械的イレウスに対して開腹術を行った報告はない. 今回われわれは, DMDにともなう反復性イレウスに対する開腹術を経験した. 症例は31歳, 男性で, 主訴は腹満, 腹痛, 嘔吐. DMDで25歳時から慢性臥床状態であった. 内科的治療で改善せず開腹術を行った. 腹腔は, 強度椎体彎曲にともなって右側が前方に突出して扁平化し, 左側は椎体を境に深く落ち込んで左横隔膜から腎臓にかけては壷状の形態を呈し, そのなかに拡張空腸を認めた. 腹腔変形がイレウスの原因と考えられた. 胃瘻...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in医療 Vol. 56; no. 3; pp. 171 - 174
Main Authors 大田, 守雄, 川畑, 勉, 石川, 清司, 本馬, 周淳, 末原, 雅人, 国吉, 真行, 野村, 謙, 山内, 和雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 2002
国立医療学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.56.171

Cover

More Information
Summary:Duchenne型筋ジストロフィー症(DMD)の麻痺性イレウスは, しばしば経験される合併症のひとつである. しかし, 機械的イレウスに対して開腹術を行った報告はない. 今回われわれは, DMDにともなう反復性イレウスに対する開腹術を経験した. 症例は31歳, 男性で, 主訴は腹満, 腹痛, 嘔吐. DMDで25歳時から慢性臥床状態であった. 内科的治療で改善せず開腹術を行った. 腹腔は, 強度椎体彎曲にともなって右側が前方に突出して扁平化し, 左側は椎体を境に深く落ち込んで左横隔膜から腎臓にかけては壷状の形態を呈し, そのなかに拡張空腸を認めた. 腹腔変形がイレウスの原因と考えられた. 胃瘻および空腸瘻を留置し, 良好に経過したため, 胃瘻, 空腸瘻はクランプして徐々に細径化し, 1年半後に抜去した. 本症例では発症前6ヵ月間の体重減少率が10%を越えていて, DMDの強度の腹腔変形に, るいそうによる腹腔の扁平化が加わって発症したと考えられた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.56.171