有瘻性膿胸大網充填術後の難治性気管支瘻にEndobronchial Watanabe Spigot(EWS)を用いた気管支充填術が有効であった1例

背景.有瘻性膿胸は難治性であることが多い.治療としてEWSを用いた気管支充填術が有効であることが報告されている.症例.症例は36歳男性.2003年2月に肺炎,右膿胸にて当科入院し,胸水培養で結核菌PCR陽性のため,他院へ転送となり膿胸開窓術を施行された.2008年2月有瘻性膿胸の手術施行目的に入院し,大網充填+胸郭形成+開窓閉鎖術を施行.術後第10病日より気漏が出現したため,第15病日に再度気管支瘻閉鎖術を行った.その後座位で気漏が持続するため,内視鏡的気管支閉鎖術を予定した.気管支鏡下に右底幹をバルーンで閉塞したところ,リークの消失が認められ,第46病日に全身麻酔下EWS気管支充填術を施行し...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in気管支学 Vol. 32; no. 3; pp. 236 - 240
Main Authors 前田, 英之, 神崎, 正人, 小山, 邦広, 池田, 豊秀, 清水, 俊榮, 井坂, 珠子, 和知, 尚子, 村杉, 雅秀, 大貫, 恭正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2010
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:背景.有瘻性膿胸は難治性であることが多い.治療としてEWSを用いた気管支充填術が有効であることが報告されている.症例.症例は36歳男性.2003年2月に肺炎,右膿胸にて当科入院し,胸水培養で結核菌PCR陽性のため,他院へ転送となり膿胸開窓術を施行された.2008年2月有瘻性膿胸の手術施行目的に入院し,大網充填+胸郭形成+開窓閉鎖術を施行.術後第10病日より気漏が出現したため,第15病日に再度気管支瘻閉鎖術を行った.その後座位で気漏が持続するため,内視鏡的気管支閉鎖術を予定した.気管支鏡下に右底幹をバルーンで閉塞したところ,リークの消失が認められ,第46病日に全身麻酔下EWS気管支充填術を施行した.EWS気管支充填術後はリークなく退院した.結論.EWS充填術は難治性気管支瘻に対して,有効な治療方法であると考えられた.責任気管支の同定が可能であれば,治療法の選択肢として考慮されるべきと考えられた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.32.3_236