肺非結核性抗酸菌症合併肺癌にmucosa-associated lymphoid tissue(MALT)リンパ腫を併発した1例

背景.肺原発MALTリンパ腫は比較的稀であり,その成因は不明のことが多い.症例.63歳女性.肺非結核性抗酸菌症の治療歴あり.胸部X線における異常陰影の精査のため当院を受診.胸部CTで右上葉に不整形陰影,右中葉に模状陰影および左肺門部に境界明瞭な結節陰影を認めた.右上葉の不整形陰影に対する気管支鏡下生検で肺腺癌と診断し,また気管支洗浄液よりMycobacterium aviumの存在を認めた.fluorodeoxyglucose positron emission tomography(FDG-PET)では右上葉病変にのみ有意な集積を認めた.肺腺癌,臨床病期IBで手術適応と診断したが,右中葉病変...

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Published in気管支学 Vol. 34; no. 2; pp. 113 - 119
Main Authors 大月, 鷹彦, 西野, 亮平, 秋田, 慎, 中尾, 涼子, 山野上, 直樹, 宮崎, こずえ, 山岡, 直樹, 倉岡, 敏彦, 大成, 亮次, 木村, 厚雄, 奥道, 恒夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2012
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Summary:背景.肺原発MALTリンパ腫は比較的稀であり,その成因は不明のことが多い.症例.63歳女性.肺非結核性抗酸菌症の治療歴あり.胸部X線における異常陰影の精査のため当院を受診.胸部CTで右上葉に不整形陰影,右中葉に模状陰影および左肺門部に境界明瞭な結節陰影を認めた.右上葉の不整形陰影に対する気管支鏡下生検で肺腺癌と診断し,また気管支洗浄液よりMycobacterium aviumの存在を認めた.fluorodeoxyglucose positron emission tomography(FDG-PET)では右上葉病変にのみ有意な集積を認めた.肺腺癌,臨床病期IBで手術適応と診断したが,右中葉病変の診断的治療も兼ねて右上中葉合併切除とした.結果.術後病理で右上葉病変は腺癌病変とそれに連続する異型リンパ球の集籏を認め,免疫染色の結果からMALTリンパ腫併発肺癌と診断した.右中葉病変ではMALTリンパ腫を認めたが腺癌病変は認めなかった.また巨細胞性肉芽腫病変も認め,肺非結核性抗酸菌症の合併も証明された.結論.本症例の如く肺非結核性抗酸菌症,肺癌およびMALTリンパ腫を併発した例は極めて稀であると考えられた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.34.2_113