基礎疾患を有する成人患者にみられた気管・気管支内異物の 2 例

基礎疾患を有する, 成人の気管・気管支内異物の2症例に対し, 気管支ファイバースコープを用いて異物摘出を行ったので報告する。症例1, 75歳男性。意識障害のため来院, 診察中呼吸不全となったので, ICUに収容された。胸部単純X線にて, 左右の下肺野を移動する異常陰影を認めた。気管支ファイバー検査で, 右下葉気管支に嵌在した義歯を認め, バルーンカテーテルを使用して摘出した。症例2, 63歳男性。喘息治療薬の吸入直後より, 咳嗽, 胸部不快感および血痰がみられ来院した。胸部単純X線では異常を認めず, 縦隔断層撮影にて気管分岐部に異常陰影を認めた。気管支ファイバー検査では, 気管分岐部に嵌在した...

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Published in気管支学 Vol. 11; no. 1; pp. 81 - 87
Main Authors 鈴木, 雅丈, 草地, 信也, 倉重, 真澄, 鈴木, 秀明, 田口, 康正, 栗田, 実, 川井, 邦彦, 恩田, 昌邦, 炭山, 嘉伸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 1989
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Summary:基礎疾患を有する, 成人の気管・気管支内異物の2症例に対し, 気管支ファイバースコープを用いて異物摘出を行ったので報告する。症例1, 75歳男性。意識障害のため来院, 診察中呼吸不全となったので, ICUに収容された。胸部単純X線にて, 左右の下肺野を移動する異常陰影を認めた。気管支ファイバー検査で, 右下葉気管支に嵌在した義歯を認め, バルーンカテーテルを使用して摘出した。症例2, 63歳男性。喘息治療薬の吸入直後より, 咳嗽, 胸部不快感および血痰がみられ来院した。胸部単純X線では異常を認めず, 縦隔断層撮影にて気管分岐部に異常陰影を認めた。気管支ファイバー検査では, 気管分岐部に嵌在した吸入容器のキャップを認め, バスケット型鉗子を用いて摘出した。気管支ファイバースコープは, 気管・気管支内異物の摘出に有用であるが, 基礎疾患や異物の形状など, 個々の症例の特異性を十分に考慮し, 摘出方法を工夫する必要がある。
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.11.1_81