高 CEA 血症を呈した肺カルチノイドの 1 例

症例は79歳女性。3年程前から血痰繰り返し, 外来で経過観察中, 血中CEA値の上昇を認め, また, 左S^ 領域に認めた斑状影も徐々に増大し, 腫瘤影を呈してきたため, 入院となった。気管支鏡上, この腫瘤影はB^ _bのポリープとして認められ, 生検では確診には至らなかったが, 経過から悪性の可能性も考え, 左下葉切除術を施行した。手術標本で定型的カルチノイドと診断され, 酵素抗体法によるCEA染色では腫瘍部は強陽性を示し, 術後, 血中CEA値は一時下降したがその後, 再上昇を認めている。肺カルチノイドの組織でCEA染色陽性のものは陰性群に比較し, 予後が悪いとの報告があり, 臨床経過の...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 13; no. 4; pp. 364 - 370
Main Authors 佐久間, 俊行, 小久保, 武, 長谷川, 鎮雄, 金重, 博司, 武士, 昭彦, 大瀬, 寛高
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 1991
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.13.4_364

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Summary:症例は79歳女性。3年程前から血痰繰り返し, 外来で経過観察中, 血中CEA値の上昇を認め, また, 左S^ 領域に認めた斑状影も徐々に増大し, 腫瘤影を呈してきたため, 入院となった。気管支鏡上, この腫瘤影はB^ _bのポリープとして認められ, 生検では確診には至らなかったが, 経過から悪性の可能性も考え, 左下葉切除術を施行した。手術標本で定型的カルチノイドと診断され, 酵素抗体法によるCEA染色では腫瘍部は強陽性を示し, 術後, 血中CEA値は一時下降したがその後, 再上昇を認めている。肺カルチノイドの組織でCEA染色陽性のものは陰性群に比較し, 予後が悪いとの報告があり, 臨床経過の把握や治療法の選択の助けにもなると考えられ, 肺カルチノイドと診断した際には, 施行すべき検査であると思われる。本例のように, 血中でもCEA値が上昇するとの報告は, 検索した範囲では認められず, 再発や転移などの経過を追う上で有用と考えられ, 報告する。
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.13.4_364